フィリピン日本人銃殺事件の真相を元刑事が推理「特殊詐欺グループを乗っ取るための利権」

8月15日夜、フィリピンの首都マニラで日本人2人が銃殺された。元徳島県警捜査1課警部の秋山博康氏が事件のシナリオを推理した。 この事件では、被害者2人の旅行ガイドをしていたフィリピン人の兄とその弟が逮捕された。マニラ警察は「首謀者は日本にいる」と日本人の首謀者から殺害を依頼された可能性が高いとしている。 逮捕された旅行ガイドの供述によると、日本にいるとされる首謀者がマニラに来た際、ドライバーで雇われる関係だとして、首謀者から約2300万円で殺害依頼を受け、前金として2万6000円を受け取り、犯行に及んだという。 事件について秋山氏は「これは反社がらみのヒットマンを使った暗殺の可能性が高い」と指摘して、フィリピン在住の裏社会に精通する協力者から、事件発生直後に「これは強盗事件ではありません。反社を伴う日本人がバックにいます」と、メールが届いたことを明かした。事件のニュースが日本で流れたのはその翌日だったという。 秋山氏は「(協力者)に聞いてみたところ、フィリピンで去年の10月ぐらいから、日本人を対象で拳銃を使用した強盗が20件ぐらい発生している。フィリピンも拳銃は許可があればみんな持てるので。この事件についてはそういう一連の強盗ではないと。バックに日本人の元反社がいるという内容だった」と続けて、「フィリピンの捜査当局も日本人うんぬんと言っているので、すでに(首謀者とされる)日本の人物をある程度は特定して捜査中とは思う」と推察した。 さらに、「利権に絡んでいる事件の可能性が高いと思う」と語った秋山氏は「よくフィリピンではあることだが、例えばフィリピンを拠点にするオレオレ詐欺とか特殊詐欺のグループがあり、そのグループをあるグループが乗っ取るようなことが多々あるらしい。今回も射殺するのに対価として報酬が日本円で2300万円ぐらいという。だから乗っ取って、利権が2300万円を当然超えることが動機になって犯行に及んだという可能性はある」と解説した。 人通りの多い繁華街でなぜ犯行が行われたのか。「実行犯については上が、首謀者が計画した内容が行き通ってなかった。やはり事前共謀というのは非常に大事。いつどこでどういう風な状況でやるかと。首謀者というのはそういう計画はあったけれども、事前共謀が末端の実行者に伝わってない」と予想した秋山氏。 「例えば『ピストルで射殺しなさい』ということを聞いて、とりあえず『いついつこの被害者が日本からフィリピンに来る。タクシーで降りたときにやる』と。これはあくまでも上の計画じゃなくて、下がやった。今回もオートバイで逃げている。オートバイもすぐ近くで捨てて、盗難車じゃなくて自分のを使っている。だからすぐに捕まった。非常に実行者は雑。しかし上はそんなに雑な計画ではなかったのでは」と推察した。 強盗行為に及んだ理由については「これは捜査のかく乱。一連で20件ぐらい(日本人を狙った強盗が)起きているので、今回も一連の強盗という風に見せかけて捜査をかく乱した犯行」と予想。 犯行場所をフィリピンに選んだ理由については「フィリピンというのは賄賂の国。賄賂によって簡単に犯罪を起こす人が多々いるらしい。私の協力者いわく『多分、特殊詐欺のグループを乗っ取るための利権という可能性が高い』という話だった」とコメントした。 (『ABEMA的ニュースショー』より)

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