現代自動車の米国工場で475人逮捕、大半は韓国人 「労働者階級への直接攻撃」と抗議の声

ジョージア州エラベル(CNN) 先週までのジョージア州エラベルの最大の売り文句は、米国で初めて完全電気自動車(EV)とバッテリーの製造拠点の建設地として韓国・現代(ヒュンダイ)自動車に選ばれたことだった。同州のプロジェクト主導者らは、この計画による8500人の雇用創出と、地方経済の変革を約束していた。 この言説は2期目のトランプ米大統領が実行した最大規模の移民捜査によって打ち砕かれた。連邦、州、地元の当局者約500人がヒュンダイとLGのバッテリー工場建設地に押しかけ、475人を逮捕したのだ。 国土安全保障省(DHS)の捜査官によると、逮捕者の大半は韓国国籍だった。一部は不法入国者や、ビザの期限が切れた不法残留者で、就労は認められない観光や商用での入国が許可されたビザ免除者もいたという。 ライフルを携えた覆面の当局者らが広大な敷地を巡回し、建設作業員らに対し壁際に整列するよう命じた。生年月日と社会保障番号の提示を求め、移民税関捜査局(ICE)の施設に連行する人物を選別し始めた。施設は160キロ以上離れたフォークストンにある。 作業員たちはその状況を「戦場」と表現した。ダクトに隠れた者もいれば、下水池に逃げ込もうとした者もいた。捜査官はボートでそうした人々を引き上げたが、ボートを転覆させようとした者もいたという。その日の終わりまでに、数百人が連行された。約12平方キロに及ぶ敷地での建設作業は停止した。 取り締まりの影響は、労働者向けの地元の店舗で最も顕著に表われた。サミー・レンツさん(51)が経営するベトナム系食料品店3店のうちの一つでは、韓国人の常連客がほぼ一夜で激減したという。 取り締まりの後、恐怖は急速に広がった。レンツさんは、黄色い安全ベストを着た作業員たちが国道沿いを歩いているのを目撃し、「擦り傷を負って」店に入ってきた1人は、フェンスを飛び越えて逃げてきたと話したという。 レンツさんによると、店で販売しているアジア製品の90%は韓国製だ。大規模な取り締まりの翌日の5日には、いつもなら10~15人来店する韓国人客がたった3人だけだった。 「韓国人がいなければ、もうからない」(レンツさん) レンツさんは今、この状態が続くのではないかと懸念し、「米国製品は売れない」と漏らす。 工場と周辺地域とのつながりはまだ初期段階にある。しかし、地元の韓国系住民の有力者らは、今回の摘発で捕まった人々の多くは、韓国などで同様の工場建設に携わってきた熟練技術者だと強調した。 韓国の当局者は、拘束された人々のうち300人以上が韓国国民であることを確認した。同国外務省は、米国に「懸念と遺憾」を伝え、ジョージア州に外交官を派遣。米国でのプロジェクトに投資する韓国国民の権利を侵害してはならないと警告を発した。 韓国大統領府の7日の発表によると、交渉の結果、拘束された韓国人労働者はチャーター機で韓国に送還される見込み。同国政府は「投資プロジェクトのために米国に渡航する人々のビザ制度と滞在資格を見直し、改善する」と述べた。

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