7人を殺し死刑になった“反社”夫婦は昭和天皇崩御で「恩赦」を狙ったが… 「夕張保険金殺人事件」の呆れたてん末

「恩赦」とは、国家が確定した有罪判決や刑罰の効力を例外的に軽減・免除・消滅させる制度で、内閣が決定し天皇が国事行為として認証する行政措置である。内容は「大赦」「特赦」「減刑」「刑の執行免除」「復権」に区分される。 たとえば1952年には、サンフランシスコ平和条約の発効に合わせた恩赦があった。映画『仁義なき戦い』(1973年公開)では、菅原文太演じる服役中の主人公が、この恩赦によって予定より早く“塀の中”から出てくる描写がある。現段階で最新の大規模な恩赦は、2019年10月22日の「令和の即位礼正殿の儀」に伴うもので、約55万人が復権などの対象になった。 1984年に北海道夕張市で発生した「夕張保険金殺人事件」は、炭鉱作業員宿舎の火災で7人が犠牲となった放火殺人事件である。首謀者とされた経営者夫妻は死刑判決を受け、それぞれがいったん控訴したものの、どちらも取り下げた。昭和天皇の崩御に伴う恩赦を期待したためである。 しかし、その目論見(もくろみ)は外れた。本稿では、この事件の概要と、戦後初となる夫婦同時死刑執行に至るまでの流れを追っていく。(本文:ミゾロギ・ダイスケ)

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