大阪・関西万博開催に伴う繁華街の環境浄化や、悪質なスカウトが絡んだ店に対する取り締まりの強化、そして風営法による厳しい規制により、店舗型の風俗店は数を減らすばかり。一方で、今、風俗業界で圧倒的多数を占めている業種が出張型の風俗店、いわゆる「デリバリーヘルス」だ。一般的に「デリヘル」と略される。デリヘルは現在も続々と新店がオープンしており、これからますます存在感を増していくことが見込まれている。 かつては非合法なものだった出張風俗が合法化されたのは1998年の風営法改正(1999年施行)によるものだ。以降デリヘルは急増し、またたく間に風俗業界の主流に成長。都会はもちろん田舎町から離島まで、全国の隅々にまでいきわたった。 時を経るにつれてサービスが細分化し、イメクラ、M性感などのほか、高齢者向け、障害者向けの店なども登場。また、ホテルヘルス、出張風俗エステ、出張オナクラ、待ち合わせデリなど、多様な遊び方が現れる。さらに、激安店から高級店に至るまでグループ化が進み、全国展開する大型チェーンも出現した。 しかし、供給過多に陥ったことで過度の集客競争が起こる。不景気による個人消費の低迷と相まって相場が値崩れし、現在に至っている。 この連載はこういったデリヘルの歴史を紹介していくものである。「無店舗型」という不可視化された業態で風俗業界の主流となったデリヘルが、その時代ごとの社会の動きとともにたどってきた変遷について、順を追って解説していきたい。