矢で撃たれて4人死傷の事件の初公判 弁護側は責任能力争うと主張

兵庫県宝塚市の住宅で2020年6月、洋弓銃ボーガン(クロスボウ)を使って家族3人を殺害し、親族1人に重傷を負わせたとして殺人と殺人未遂の罪に問われた無職、野津英滉(ひであき)被告(28)の裁判員裁判の初公判が25日、神戸地裁(松田道別裁判長)で始まった。被告は起訴内容を認め、弁護側は「事件当時は心神耗弱の状態だった」として、刑事責任能力の程度を争うと述べた。 事件発生と逮捕から初公判まで5年3カ月かかった。裁判の争点などを整理する公判前整理手続きを経て、神戸地裁はいったん公判期日を指定したが、被告に心身の不調が生じたため22年9月28日付で全て取り消していた。地裁は公判に耐えられる状態まで回復したと判断し、期日を再指定したとみられる。判決は10月31日に言い渡される。 起訴状によると、被告は20年6月4日の午前5時ごろから10時10分ごろまでの間に、自宅で、祖母の好美(よしみ)さん(当時75)、母のマユミさん(同47)、弟の英志(ひでゆき)さん(同22)の頭にクロスボウの矢を放って殺害し、伯母(55)も撃って、首の骨を折るなどの傷害を負わせたとされる。 クロスボウをめぐっては、事件発生後の22年に改正銃刀法が施行された。それまでは規制対象ではなかったが、所持するには都道府県公安委員会の許可が必要となり、用途も標的射撃や動物麻酔などに限られた。(原野百々恵、根本快)

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