シリア男性の難民不認定、二審も違法判決 国への義務付けは認めず

シリア国内で兵役に就かず反政府活動をしていたために帰国すれば迫害を受けるおそれがあるとして、愛知県内に住むシリア国籍の30代の男性が難民認定を求めた訴訟の控訴審判決が25日、名古屋高裁であった。吉田彩裁判長(新谷晋司裁判長代読)は、難民と認定するよう命じた一審・名古屋地裁判決を一部変更した。一審判決に続き難民不認定処分が違法だと認めた一方、アサド政権の崩壊を受け、国への難民認定の義務付けは認めなかった。 男性は、19年5月に来日。難民申請をしたが不認定処分を受け、21年に名古屋地裁に提訴した。 昨年5月の一審判決によると、男性は大学に在籍しながら会社を経営。政府への反発から、勉学や仕事を理由にシリア軍に対し徴兵の猶予を申し入れて兵役を免れていたほか、シリア政府などを批判する集会を主催し、治安機関に2回、身柄を拘束された。 19年に来日後、シリアの資産が凍結され、徴兵猶予の申請が却下されていたことが判明。帰国すれば迫害を受ける恐れがあるとして、日本で難民申請をしたが、認められなかった。 一審判決は、男性が帰国すれば、反政府的な意見の持ち主とみなされ、逮捕されたり、十分な訓練を受けずに兵士として前線に送られたりするなど、生命に危険が生じる可能性があると指摘。「政治的意見に基づき迫害を受けるおそれがある」とし、難民に該当すると判断した。 国側は判決を不服として控訴し、一審判決を取り消すよう求めていた。(石垣明真)

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