田端信太郎氏もメルカリから訴えられた「侮辱罪」ってどこからがアウト? 法務省が公開した173件の事例から浮かぶ“境界線”

<見た目からしてバケモノかよ> <ホラ吹き人殺し野郎> <なかなか手強いですよ?●●(被害者の氏名)はバカなので> これらはいずれも、法務省が今月公表した「侮辱罪の事例集」に掲載された文言の一部だ。いずれもSNSに投稿されたもので、画像付きのものも多い。これらの投稿は侮辱罪に問われ、上から順に、罰金30万円、10万円、10万円の略式命令がくだっている。 最近ニュースになることも多い「侮辱罪」とはいかなるものなのか。リット法律事務所代表の清水勇希弁護士はこう解説する。 「侮辱罪とは、『“事実の適示”なく公然と人を侮辱する』ことに対する刑法上の犯罪で、2022年に刑法が改正されて厳罰化されました。『事例集』には厳罰化以降、今年6月30日までに裁判・処分が確定した事案173件が掲載されています」 これまで軽微な法定刑だった「侮辱罪」は、厳罰化によって「1年以下の懲役もしくは禁固」と「30万円以下の罰金」が加えられた。今のところ侮辱罪単独で懲役や禁固に処された例はないとみられる。 清水弁護士は続ける。 「厳罰化の背景に、特にSNSでの匿名アカウントによる悪質な誹謗(ひぼう)中傷がありました。これまで侮辱罪で課すことができた1万円未満の科料では『言ったもん勝ち』に近く、法律はほぼ無力でした。今回公表された事例集では特にインターネット上の事案で高額の罰金が科されているケースが多く、インパクトがあります」 なお、侮辱罪に似た犯罪に名誉毀損(きそん)罪があるが、名誉棄損は“事実の適示”をしたうえで人の社会的評価を低下させる罪を指す。 「“事実の適示”とは、真実であるかどうかにかかわらず、人の社会的評価に関わる具体的事実を述べることを指します。例えば、『●●さんは不倫している』『●●さんは過去に逮捕歴がある』『あの社長は脱税している』などは、真実であっても人の社会的評価を下げることにつながるため、名誉棄損罪の構成要件に該当し得ます。一方、侮辱罪はこうした事実の指摘をせずに、意見や感想に基づいて『無能だ』とか『ブサイク』とか、相手をおとしめることによって成立する犯罪です」(同)

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