2023年10月7日にパレスチナ・ガザ地区のイスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃してから2年となるのを前に、英イングランド各地で5日、集会が開かれた。ロンドンのトラファルガー広場には、数千人が集まった。 集会では、グレーター・マンチェスターで2日に起きたシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)襲撃事件の被害者を悼むろうそくもともされた。 トラファルガー広場では前日の4日、イギリス政府に活動を禁じられた親パレスチナ団体「パレスチナ・アクション」を支持するデモが開かれ、約500人が逮捕されている。 英ユダヤ人代表委員会のフィル・ローゼンバーグ会長は、5日の集会で、ユダヤ人コミュニティーは「反ユダヤ主義がどこで現れても立ち向かう決意を持ち続けている」と述べた。 イギリスの首席ラビ(ユダヤ教指導者)であるサー・エフライム・ミルヴィスも登壇し、「私たちはきょう、10月7日に容赦なく奪われたかけがえのない命を追悼する」と語った。 「私たちは、あの日以降に発生したすべての残虐行為を記憶している」 マンチェスターでは、シナゴーグ襲撃を受けて安全面への懸念があるなか、数百人が集会に参加した。 この集会は「ノースウェスト・フレンズ・オブ・イスラエル」によって主催され、参加者はイスラエルの国旗を振った。ハマスが拘束している人質の解放を求めるバナーやポスターを掲げる人もいた。 ロンドンのイベントでローゼンバーグ氏は、ユダヤ教の最も神聖な祭日にあたる「贖罪(しょくざい)の日」(ヨム・キプル)にシナゴーグで2人の男性が殺害されたのと同じ週に、パレスチナ・アクションを支持する活動が行われたことは「容認できない」と述べた。 しかし、パレスチナ・アクションを支持する団体「陪審員を守れ」メンバーのゾーイ・コーエンさんは4日の抗議活動について、自分はユダヤ系として「恐ろしいシナゴーグ襲撃事件に悲しんでいる」一方で、「ガザで殺害され、追放され、飢えさせられている何十万人ものパレスチナ人のことも悲しんでいる」と話した。 コーエンさんは「私たちは複数の残虐行為の犠牲者に対して、同時に思いやりを持ち、心を開くことができると思う」とも話した。 抗議活動中に発表された声明の中でコーエンさんは、「もし今日の追悼集会が中止されていたら、私たちはテロに勝利させたことになる」と主張した。 ハマスのイスラエル襲撃から2年となる7日には、イスラエルや世界各地でイベントが開催される予定だ。この攻撃では約1200人が殺害され、251人が人質として拘束された。 イスラエル軍はこれに応じてガザで軍事作戦を開始。ハマスが運営するガザ地区の保健省は、これまでに少なくとも6万7139人が殺されたと発表している。ガザの住民の大半は繰り返し避難を強いられており、住宅の90%以上が損壊または破壊されたと推定されている。 イスラエルは戦争開始以降、国際的なジャーナリストが独立してガザに入ることを禁止しており、双方の主張を検証することは難しい。 ハマスによる襲撃から2年が経過した現在も、イスラエルの軍事行動は継続している。 アメリカは先週、和平に向けた20項目の計画を発表し、戦闘の即時停止を提案した。この計画には、ハマスが拘束している生存中のイスラエル人質20人らの解放と引き換えに、イスラエルが拘束中のガザ出身者数百人を釈放することが含まれている。 ハマスは3日に人質の解放に同意したと発表したが、提案内容の詳細については言及しなかった。 アメリカのドナルド・トランプ大統領は5日、ガザで拘束されている人質が「非常に近いうちに」解放されると考えていると述べた。仲介者らは6日にもエジプトで、ハマスとイスラエルによる間接的な和平交渉を行う予定となっている。 (英語記事 Thousands gather in London to mark two years since 7 October attacks)