沢口靖子が走る、叫ぶ、そして歌う! 『絶対零度』シーズン5が想像以上の面白さ

沢口靖子が走る! 叫ぶ! 歌う! 『絶対零度~情報犯罪緊急捜査~』(フジテレビ系)が、第1話から想像以上に面白い内容となっている。本作は『絶対零度』シリーズの5年ぶりの続編。2010年に始まったシリーズは今作でシーズン5に突入し、シーズン1・2は上戸彩、シーズン3・4は沢村一樹が主演を務めてきた。そして、今回新たに主演を張るのが、沢口靖子。キャスト陣もシーズン2からシーズン4まで出演してきた横山裕を除き、ほぼすべてのメインキャストが一新。脚本・演出チームも新たな座組みとなっている。 そのため『絶対零度』シリーズとしては画面が切り替わる際のノイズ画面など細かなポイントに懐かしさを覚えはするものの、それよりかは新たな『絶対零度』を観ているという印象のほうが強くあるのが正直なところだ。その大部分の要素を担っているのが、主人公・二宮を演じる沢口靖子だろう。 沢口といえば、『科捜研の女』シリーズ(テレビ朝日系)で25年にわたり榊マリコを演じてきた。偉業すぎるが故に、厳しいことを言ってしまえば次の一歩を踏み出せずにいたのも事実。沢口にとって『絶対零度』での主演が“新たな挑戦”であることをインタビューの中で認めている。その象徴と言えるのが、今作のためにバッサリと切られたショートヘアだ。 沢口が演じる二宮は、「情報犯罪特命対策室」(DICT)で捜査にあたる刑事で、匿名・流動型犯罪(トクリュウ)に代表される特殊詐欺やサイバーテロなど、数々の情報犯罪に立ち向かっていく。明るく元気な性格の二宮はスペシャリストが集まるDICTの最年長で、記憶力にすぐれ、人間観察や何気ない会話から情報を拾うことを得意としている。 劇中では、監視カメラに映っていた犯人の靴と事件現場で目撃していた怪しい青年の姿形を一致させる、優れた記憶力と観察力を発揮させる。そこで二宮がつぶやくのが「ヤバい、震えた」というセリフ。本作では刑事たちも平気で「まじで沼」「エグい」といった若者言葉……というか、普通に年配もリアルに使うようになっているような言葉が自然とセリフの中にインサートされており、脚本のテンポの良さに相まって、作品に新たな風を吹かせている。 二宮は事件を未然に防げなかったことに悔しさを滲ませ絶叫。捜査のために街を全力疾走し、トクリュウの一員で逮捕された高山蓮(奥智哉)の取り調べではドスの効いた声で怒りを露わにする。と、思いきやVaundy「怪獣の花唄」をカラオケで歌ったりと、見たことのない沢口靖子を引き出そうとしているのが、ひしひしと伝わってくる。この『絶対零度』は、フジテレビにとってもチャレンジのドラマということなのであろう。 シリーズのファンを喜ばせるサプライズ演出だったのが、山内(横山裕)のスマホに表示された「桜木泉」の名前。山内がバディを組んでいたシーズン1・2の主人公であり、桜木(上戸彩)と今でも繋がりがあるということを示している。もしかすると、どこかでサプライズ出演の可能性もあるのかもしれない。 また、見逃せないのが今後の物語のヒントとして描かれていた冒頭の映像。時は1年後の2026年。日本初の女性総理(タイムリーすぎる!)・桐谷杏子(板谷由夏)を護衛する二宮は、海外にあると思われるトクリュウの指示役のアジトに潜入。大臣の娘・カナ(白本彩奈)の名前を呼びながらアジトに入ると、そこはもぬけの殻となっており、時限式の爆弾が仕掛けられていた。不敵な笑い声とともに、パソコンのモニターに映し出されるのはどこかで見たような女性らしきモンタージュ。この映像が後に物語の大きなヒントになっていくのは確実だろう。 まったもって新しく、挑戦の『絶対零度』シリーズが幕を開けた。

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