影山前技術委員長と同じ“趣味”の者はいないか? JFAが児童ポルノ事件を重く扱うワケ

日本サッカー協会(JFA)が28日に都内で臨時理事会を行い、「倫理・コンプライアンスタスクフォース(仮称)」を設置することを決定した。近年はサッカー界で不祥事が続発。そうした事態を受けて新たな作業部会が立ち上げられる背景には、スポンサー側の強い危機感がある。 今月上旬に日本サッカー界の中枢にいた影山雅永前技術委員長が、フランスで児童ポルノ画像の閲覧などで執行猶予付き禁錮1年6月と罰金5000ユーロ(約88万円)などの有罪判決を受けた。昨年7月には日本代表MF佐野海舟(マインツ)が不同意性交容疑で逮捕され、その後不起訴処分となるなど、コンプライアンス違反が続発したため、JFAは対策に着手。実効性のある改善・再発防止策を理事会に提言することを目的に作業部会が設置される。 座長を務めるJFAの宮本恒靖会長は臨時理事会後、取材に応じ「前技術委員長の件をはじめ、サッカー界で断続的にコンプライアンスに関する事案が発生して、たくさんの方々にご迷惑をおかけしている。会長として、しっかりと信頼回復に向けて取り組んでいきたい」と語った。 現時点で初会合の日程は決まっていないが、年内もしくは3か月以内に具体的な方針を出す予定。今後は、影山氏が今回の犯罪に至った要因について議論するほか、JFA内に影山氏と同じような嗜好を持つ幹部、職員がいないかどうかの調査を行うかも検討する。 これまでJFAはインテグリティー(高潔性)チェックを実施してきたが、より厳格な〝身体検査〟は不可欠だ。新たなチェック体制の導入に関して宮本会長は「可能性はある」と示唆。いかに説得力、実効性のある再発防止策を提示できるかがカギとなりそうだ。 異例とも言えるJFAの迅速な動きの背景には、多く抱える巨大スポンサーの意向がある。 影山氏が有罪判決を受けて契約解除となった直後に行われた10日のパラグアイと14日のブラジル戦では、メジャーパートナー契約を結ぶ全日本空輸(ANA)が広告掲出を取りやめる事態に。この日、湯川和之専務理事は「パートナーの皆様、スポンサーの皆様はANA様からだけでなく、再発防止に向けて徹底的なガバナンスとコンプライアンスの強化を図るように求められている。その点はしっかりと対応しないといけない」と明らかにした。 スポンサー企業が抱く危機感について、大手広告代理店関係者はこう指摘する。 「もし今度同様の事象が起きれば、スポンサーとして大ダメージになりかねない。特に性犯罪、児童が対象になる犯罪などはスポンサーが最も神経をとがらせるところ。対応を間違えれば、フジテレビのような事態が起きてもおかしくない。厳しすぎるくらい徹底した対策が求められるのでは」 元タレント中居正広氏の女性問題が引き金となり、深刻なスポンサー離れが起きたフジテレビの二の舞いになる懸念もあるようだ。JFAの再発防止策が注目される。

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