発射能力がある「おもちゃ」の銃2丁を自宅で所持していたとして、警視庁は、無職の男(60)=千葉県袖ケ浦市=を銃刀法違反(拳銃複数所持)の疑いで逮捕し、30日に発表した。容疑を認め「海外サイトで購入した」と供述しているという。 おもちゃと称する拳銃に関して、警視庁はこれまでに100件近く書類送検しているが、同法違反容疑で逮捕するのは初。警視庁は「おもちゃの拳銃には危険性がある。所持しないようにしてほしい」と呼びかける。 薬物銃器対策課によると、男は、法定の除外理由がないのに今年4月22日、自宅で上下二連式拳銃1丁、四連式拳銃1丁を所持した疑いがある。 ■今年押収した拳銃の4割が「おもちゃ銃」 サイトで注文後、商品が自宅に届いた後の経緯については「過去の知識と経験から違法なものではないかと、不安に思っていて、それをそのまま自宅に置いていたことについて、申し訳ない気持ちでいっぱい」と説明しているという。 警視庁がオークションサイトをサイバーパトロールする中で、男が浮上し今年4月22日に家宅捜索。鑑定すると「人の生命に危険を及ぼしうる程度の金属製弾丸発射機能を有している」との結果を得たという。 警察庁によると、今年は9月末(暫定値)までに押収された400丁の拳銃のうち39%(156丁)がおもちゃの拳銃だったという。昨年は、押収拳銃394丁のうち約16%(64丁)を占めた。銃の押収量は4年連続で前年を上回る。 規制対象となるおもちゃの拳銃が、国内で最初に確認されたのは2022年で、現在、17種類が規制対象になっている。警察が流通を把握したものは計約1万6800丁あるといい、9月末までに約4600丁を回収しているという。 おもちゃの拳銃の所持や購入をやめ、所持している場合は警察署に相談するように呼びかけている。回収期間の目安は12月31日まで。(西岡矩毅、編集委員・吉田伸八)