難民不認定の直後、弁護士も知らぬ間にあわや送還 カメルーン人提訴

難民申請の「不認定」を告げられた直後、弁護士に相談する間もなく送還されそうになったとして、カメルーン人の男性が国に660万円の賠償を求めて東京地裁に7日付で提訴した。「不認定に対し、裁判を受ける権利を侵害された」と訴えている。 男性は、政府の弾圧や恣意(しい)的な逮捕が横行しているというカメルーン英語圏の出身。訴状によると、男性は10月7日にカメルーンから日本に入国直後、入管の施設に入れられた。弁護士が代理人となり、難民認定を申請した。 だが同月24日、男性は入管職員から不認定を告げられ、すぐ空港の搭乗ゲートに連れて行かれて送還されそうになった。男性の家族から連絡を受けた弁護士が電話で抗議し、送還はとりやめられた。 ■不服申し立て「取り合ってもらえなかった」 難民申請が認められない人は、審査請求による不服申し立てや、処分取り消しを求めた訴訟を起こせる。男性は「不服申し立てをしたいと何度も伝えたのに取り合ってもらえなかった」と主張。入管側は「本人が不服申し立てを希望しなかった」などと説明していたという。 代理人の吉田幸一郎弁護士によると、難民認定の不認定を告げた直後の強制送還は横行しているといい、裁判を受ける前の強制送還などを違法とした判決は、全国の地高裁で複数出ている。今回の訴訟は、送還を免れた当事者が、入管の対応の実態を裁判で証言できることが特徴だという。 吉田弁護士は「弁護士と連絡も取らせず無理やり送還するのは、明確な権利侵害。国は『不法滞在者ゼロプラン』を進めているが、適正手続きを守っていないのは国の方だ」と話した。(黒田早織)

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