歩道を時速60キロ近くで走行か 東京・足立の車暴走、死者2人に

東京都足立区で盗難車が暴走して11人が死傷した事故で、車が歩道上を時速60キロ近くで走っていたとみられることが捜査関係者への取材で判明した。歩道では少なくとも4人がはねられ、うち80代男性が死亡した。警視庁は、車の窃盗容疑で逮捕された足立区の職業不詳の男性(37)が、車道からほとんどスピードを落とさずに歩道へ車を侵入させたとみて調べている。 また、横断歩道上ではねられて意識不明の重体だった足立区関原1、フィリピン国籍の会社員、テスタド・グラディス・グレイス・ロタキオさん(28)が25日、死亡した。既に死亡が確認されていた足立区栗原1の無職、杉本研二さん(81)に続き、事故の死者は2人となった。他に10~70代の9人が重軽傷を負った。 車は24日午後0時半ごろ、足立区の国道4号で赤信号を無視してテスタドさんをはねた。そのまま90メートルほど走った後に歩道に侵入して、杉本さんらをはねながら100メートル近く直進。再び車道に戻り、トラックに追突後、ガードレールに衝突して停車した。 捜査関係者によると、付近の防犯カメラ映像や車体の損壊具合の分析から、テスタドさんをはねた際は時速70キロ、歩道上では時速60キロ近いスピードが出ていたとみられる。テスタドさんをはねるまではブレーキ痕はなかった。歩道上では、何かにぶつかった衝撃で車前方のガラスがクモの巣状に割れたが、こうした傷は時速50~60キロ以上出ていなければ生じないという。 警視庁は刑事責任能力の有無を調べる必要があるため、容疑者の氏名を発表していない。容疑者は停車後に逃走し、歩いて自宅に帰っていたといい、警視庁は、道路交通法違反(ひき逃げ)と自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)の疑いでも調べる。【菅野蘭、松本ゆう雅】

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