大分市のごみ収集業務委託契約の入札情報を漏らしたなどとして、当時の環境部長ら計4人が今年2月に逮捕された官製談合防止法違反事件があり、市が設置した第三者委員会が調査報告書をまとめた。記録が残る2009~24年度に、市側からの入札情報の漏洩(ろうえい)が計156件確認されたという。足立信也市長は27日の会見で、「長年にわたるあしき慣習を断ち切りたい」と述べた。 第三者委員会は、市などの資料やデータをもとに、市長経験者や市職員ら延べ59人に聞き取り調査を実施。部落解放同盟大分県連合会大分地区各支部代表者会の関連企業への入札情報の漏洩(ろうえい)などがあったとし、「長きにわたって慣行的に行われたものと考えられる」と指摘した。同代表者会関係者らからも話を聞いた。 報告書によると、市では指名競争入札や随意契約に関する情報を、各課が主に人権・同和対策課を通じて、関連企業に提供。遅くとも06年から情報漏洩が行われ、09~24年度に確認できた件数は清掃業務課で4件、公園緑地課で152件にのぼったという。 報告書では、1977年にあった両者の会合で出席者から市関係者への暴力行為があったが、市側は毅然(きぜん)とした対応をとらなかったなどとして、「対等な関係ではなかった」と指摘。行政内部の意思決定に影響を及ぼしていたとして、「職員が従属的立場で対応せざるを得ないという歪んだ関係が常態化していた」とした。 委員会は、情報漏洩や事件の大きな原因の一つが「市全体として貧弱な内部統制」にあるとして、統制強化を提言。再発防止策として業務委託用マニュアルの再整備や、就労対策などを掲げた人権擁護条例の見直しなどを挙げた。足立市長はこの日の会見で、新たな条例を制定する方針を明らかにした。 一方、部落解放同盟大分県連合会は「報告書にある圧力や暴力などは解放同盟の運動の本質ではない。問題のあった支部の再建は果たしているが、さらに進めたい」としている。(横田千里)