2024年に首都圏で起きた闇バイトによる連続強盗事件。警視庁などの合同捜査本部は5日、指示役とみられる4人の逮捕に至った。関連18事件には、昨年10月に横浜市青葉区であった強盗致死事件も含まれる。現場周辺ではいまだに住民の不安が消えず、容疑者グループや事件の実態について「早く全貌が明らかになってほしい」と声が上がる。 事件は24年10月15日未明に発生した。同区鉄(くろがね)町の後藤寛治さん(当時75歳)が自宅で手足を縛られ、亡くなっているのが見つかった。暴行を受けた跡があり、室内から約20万円がなくなっていた。 神奈川県警は事件に関与したとして8人を逮捕し、うち6人を起訴。現金運搬役では1人に横浜地裁で有罪判決が下され、2人が公判中だ。襲撃を実行したとされる3人の公判は、今後開かれる見込みとなっている。 警視庁の親家和仁刑事部長は5日、合同捜査本部が開いた記者会見で青葉区の事件に言及。「亡くなられた被害者に改めて哀悼の意を示し、ご家族に心よりお悔やみ申し上げる。首謀者の検挙に向けて捜査を強力に進める」と述べた。 首都圏連続強盗のうち、唯一死者が出たこの事件は、周辺住民に衝撃を与えた。 現場周辺は畑が多く、小規模な住宅群が点在するような地域。車の通行はあるものの人通りは少なく、一見、穏やかな街並みだ。現場近くに住む男性(75)は「こんな所で強盗は起こらないだろう、と思っていた」と振り返る。 被害に遭った住宅は一本道の突き当たり付近に位置し、この男性は「強盗なら、もっと逃げやすい場所を選ぶのではないか。高級住宅街でもないし、なぜ狙われたか不思議だ」と話す。 男性は事件後、防犯のために自宅車庫の門を増設したという。「他の家でも防犯カメラを設置するところが増えた。いまだに緊張感が続いている」とこぼす。別の近隣住民は「自分が狙われた可能性もあると思うと怖い」と話した。 地域を所管する青葉署は、事件後からパトロールの回数を増やし、不審者への声かけも重点的に実施するようになった。今年7月には、警察官が巡回したことを知らせる「パトロールカード」を各戸に投函(とうかん)。住民を安心させるよう気を配っている。 「事件の捜査はこれで終わりではないと思うが、ひとまずほっとした。今後詳細が明らかになってほしい」。指示役とみられる容疑者らの逮捕を受け、男性はかみしめるように話した。【清水夏妃】