“劇場型” 詐欺グループの巧妙な手口とは 県警が詐欺グループからの電話音声を公開 「刑事」や「検事」名乗る人物登場 《新潟》

全国的に相次ぐ特殊詐欺の被害。新潟県警は、新潟市に住む男性のもとにかかってきた詐欺グループからの電話の音声を公開しました。刑事や検事などを名乗る人物が代わる代わる登場する“劇場型”の電話…その巧妙な手口が見えてきました。 (イメージ) 刑事)今回○○さん、逮捕になるんですけども 男性)逮捕されるんですか? 刑事)怪しいと思われる疑いが強まったすべての人物を今回緊急逮捕することになりました これは新潟県警が公開した詐欺グループの音声です。 新潟市に住む60代の男性のもとに電話がかかってきたのは、ことし7月。「福岡中央警察署捜査2課のノザキ」と名乗っていたといいます。 投資詐欺の事実で逮捕状が出ていると伝えられますが全く身に覚えがない男性。いち早く無実の罪をはらすために「優先捜査」を検事に交渉するよう勧められます。ノザキ刑事を名乗る人物は電話をつないだまま「担当検事」の元へ… 刑事)お忙しいところ恐縮ですが、○○のお話を聞いていただくことは可能でしょうか 検事)わかりました。少しだけならお話きいてみましょう 刑事)ありがとうございます 検事)それでは本人と話しますので席を外してください 刑事)はい失礼いたします 詐欺グループが役割を分担してだます“劇場型”の電話。男性は検事を名乗る人物に「優先捜査」をしてもらうよう交渉しますが… 検事)優先捜査については却下の方にいたします、認めません 検事)○○さんまだまだ考え方も甘いのかな、認識ももう少し変えていただかないと 検事は男性から無実の罪を晴らしたいという強い思いが感じられないと厳しく追及しました。男性がそのやりとりをノザキ刑事に報告すると… 刑事)私としてはこうやって小山さんと話しているからなんとかしてあげたいけど、立場がありますから責任が問われるわけなんですよ私に 男性)だから今回のことも、ノザキさんの顔に泥をぬるようなことをして申し訳ないと思っています 男性は、再び優先捜査を交渉することに… 刑事)先ほど検事よりご指摘いただいたことについて猛省し考えを改め、今後改善していく旨を検事に伝えたいと言っております 刑事)今後これまで以上に言動等改めさせ万が一のことがあった場合は私も然るべき覚悟でもあります 検事)わかりました、そこまで言うならありがとうございます ノザキ刑事の後押しのおかげか…二度目の交渉で優先捜査が承認されました。 男性)ノザキさんが入室する際に自分の立場をかけて私を押してくれたこともすごく大きかったと思うんです。ほんと感謝しきれないくらい感謝しています 刑事)一度却下されて諦められていた姿を見ていたらやっぱりどこかで私も背中を押したくなってしまって 県警によると、このように恩を感じさせるなどしてだます手口が多いといいます。 男性はこのあと「金融捜査官」を名乗る女性から指示を受け、口座の開設や仮想通貨の登録を行いましたが途中で詐欺と疑い被害はありませんでした。 県内のオレオレ詐欺の認知件数はことし114件で、そのうち98件がこうした「ニセ警察」による詐欺でした。 県警によると「優先捜査」という言葉はなく、電話で取り調べをすることもないということです。 県警は詐欺電話をとらないような対策をすること、怪しい電話からの指示には従わないようにすることなど特殊詐欺への注意を呼びかけています。

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