【台北＝西見由章】香港国家安全維持法（国安法）違反罪などに問われた香港紙、蘋果（ひんか）日報（アップルデイリー）の創業者で著名な民主活動家、黎智英（ジミー・ライ）氏（78）の判決公判が15日、香港の高等法院（高裁）で開かれ、有罪判決が言い渡された。ロイター通信が報じた。量刑は後日、情状酌量などを検討したうえで言い渡される。 黎氏は蘋果日報幹部や外国の政治家らと共謀し、外国政府に中国や香港への制裁を呼びかけたとして、外国勢力との結託により国家安全への危害を共謀した罪（国安法違反）に問われた。国安法は最高刑を終身刑と定める。 また蘋果日報の記事などを通じて中国や香港政府への憎悪を煽ったとして刑事罪行条例違反（扇動出版物発行の共謀）罪にも問われた。 黎氏は、国安法施行後は外国に制裁を求めておらず、蘋果日報の記事に政府への憎悪を煽る目的はなかったなどとして罪状を否認していた。 2020年6月に施行された国安法による黎氏の逮捕・起訴は、香港の民主化運動と言論への弾圧を象徴する事件として注目を集めてきた。トランプ米大統領も中国側に対し、黎氏の釈放を求めたとされる。 高齢の黎氏は20年に逮捕されて以降、収監期間が約5年に及び、健康問題が懸念されている。今年8月の公判では携帯型心電図装置を装着したまま出廷した。