オーストラリア東部ニューサウスウェールズ州の裁判所は、買春の代金を支払ったと偽って性行為に及んだのは「性的暴行」に当たるとして、元兵士の30代男性に対し、懲役1年4カ月の実刑判決を言い渡した。2022年施行の性的同意に関する改正法の初適用とみられ、豪メディアは「画期的だ」と報じている。 豪公共放送ABCなどによると、被告は23年8月、セックスワーカーの女性に対し、銀行振込を装った700豪ドル(約7万円)の偽の領収書を提示し、代金を支払ったと信じ込ませた上で性行為に及んだ。女性はその後入金されていないことに気づき、被告に複数回連絡したが応答がなかったため、警察に通報した。 同州の法律では、金銭支払いなどの条件を欺いて性行為に及ぶ「詐欺的誘引」の場合、性的同意は成立しないと定めている。被告は他の女性にも同様の手口を繰り返したとして、24年7月に逮捕され、今年11月に判決を受けた。 ABCの取材に応じた原告の弁護士らは、これまでセックスワーカーが買春客による未払いを警察に訴えても、民事での解決を求められることがほとんどだったと指摘。その上で、今回の判例について「ゲームチェンジャーになり得る」と期待を示した。【バンコク国本愛】