「歩は同じゼミの男子学生に首を絞められて殺害されました」 建築士を夢見て高専に進学した娘は、ある日突然、同級生に命を奪われた…母親が語る事件の記憶

19年前、最愛の娘を殺害された被害者遺族の女性が、島根県江津市の高校で講演を行いました。女性が語った「生きることの意味」、そして、講演を聞いた高校生たちが感じたこととは? 「私は、二十歳の娘を殺人事件で亡くした母親です」 山口県防府市在住の中谷加代子さん。 19年前、当時20歳だった娘を殺害された、被害者遺族です。 島根県江津市の石見智翠館高校で開かれた「命の大切さを学ぶ教室」。 講演タイトルは「歩と生きる」、歩とは、中谷さんの娘の名前です。 中谷加代子さん 「歩は昭和61年、1986年6月、お兄ちゃんに続いて生まれた待望の女の子です。歩が生まれたばかりの時、お父さんは男の人なんでね、あぐらをかいてその上に乗せるようにちっちゃい歩を抱っこして、『絶対に嫁にやらん』と言っていました」 歩さんの夢は「建築士」、隣の市にある工業高等専門学校に進学し、勉学に励む日々を送っていました。 しかし、2006年8月28日。 中谷加代子さん 「歩は、研究室の中で、同じゼミの男子学生に首を絞められて殺害されました。 歩がパソコンに向かっているところを犯人は後ろから手で首をしめ、さらにビニールの紐で何重にも巻いて、歩をしめ殺しました。 歩は苦しかったと思います、それを取ろうと抵抗したようです。 その後、犯人は歩を強姦して、研究室のドアに鍵をかけて逃走しました。」 「どうか別の人であってと祈っていました。でもそこには別の人ではなく、歩がいました。顔の色が紫色になって、そこで眠っていました。 首から下はビニールに入っているから、抱き抱えることも手を触ることもできなくて、ただただほっぺたを触りました。 柔らかかった。 その柔らかかった感触、今でも忘れたくなくて、自分の足とかをこう触ってみて『ああ、こんな感じだったよね』と、その時の感触を取り戻そうと思う」 警察は、歩さんの同級生だった19歳の男子学生の逮捕状をとり、全国に指名手配しました。 しかし、事件から11日目。容疑者が山の中で首を吊って自殺しているのが発見されました。

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