取り調べでの黙秘権侵害など認定 佐賀県警、上告せず高裁判決確定

佐賀県警から違法な取り調べを受けたとして、男性と弁護人が損害賠償を求め県を訴えた国家賠償請求訴訟で、県警は期限内に最高裁へ上告しなかったことを明らかにした。県に計44万円の支払いを命じた福岡高裁控訴審判決が確定した。 昨年12月17日の高裁判決によると、男性は2021年1月、窃盗容疑で逮捕され、その後、不起訴になった。取り調べた警察官は「しゃべってくれるなら、立件もなるべくせんどこうかな。俺は北署でエースだから、ある程度の権限はある」などと言って自白を促し、容疑を認める自白調書への署名押印を求めた。 高裁は男性の黙秘権の侵害を認定。さらに男性と、接見した弁護人の秘密交通権の侵害も認め、賠償額を一審の1万1千円から増額した。 上告の期限は1月5日だった。上告断念について県警監察課は「憲法や最高裁判例に反するといった上告の要件に判決内容が該当するとは認められなかったため」と説明。判決内容の受け止めについては「詳細は差し控える」とした。 当時、国選弁護人で訴訟の原告の出口聡一郎弁護士は取材に対し、控訴審で黙秘権侵害の訴えが認められたのはまれだと述べ、「黙秘権の重要性を改めて強調する高裁判決が確定した意義は大きい。密室での透明性に欠ける捜査は、県警科学捜査研究所の元職員によるDNA型鑑定不正とも根を同じくするもの。県警は刑事司法の透明化に向け、取り調べの可視化などに取り組んでほしい」と話した。(石田一光、渕沢貴子)

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