Olivia Le Poidevin Parisa Hafezi [ジュネーブ/ドバイ 26日 ロイター] – 国連のイラン人権状況特別報告者の佐藤舞ロンドン大バークベック校教授は26日、イランの反政府抗議デモに参加し、負傷した人々が病院から連れ出され、治安当局に拘束されているとの報告を受けたと明らかにした。これは国際法上の医療を受ける権利の重大な侵害に当たる。 佐藤氏はロイターのオンラインインタビューで、遺族が遺体の引き取りに5000―7000ドルの支払いを要求されていると語った。 昨年12月以降にイラン全土で広がった反政府デモに対する政府の弾圧は1979年のイラン革命以来の規模となり、国際的な非難を浴びている。 イラン当局の公式発表では死者数は3117人とされるが、米国を拠点とする人権団体HRANAは治安部隊214人を含めた関連死者数が5937人に上ると公表している。 佐藤氏は死者数を自身は確認できないとしつつも、公式発表をはるかに上回ると確信していると述べ、イランの複数の州で治安部隊が病院を襲撃したとの報告が病院職員から多く寄せられていると指摘。入院者の家族が病院を訪れたところ、入院者がいなくなっていた事例もあるという。 イランの駐ジュネーブ代表部はロイターのコメント要請に直ちには応じなかった。 イラン北部ラシュトの医師はロイターに対して、佐藤氏の報告の一部が正しいことを認め、「私たちの病院には銃で撃たれて負傷した数十人が入院していた。手術の直後、革命防衛隊が来て全員を連れ去った。その後どうなったかは分からない」と打ち明けた。 首都テヘランの病院に勤務する看護師2人と医師2人もロイターに、革命防衛隊と警察が病院に来たと証言。既に退院したデモ参加者を逮捕するため、彼らの入院記録の提出を要求したという。看護師は「病院の全ての部屋を調べ、負傷したデモ参加者を捜していた」と語った。 佐藤氏はこのようなイラン治安当局の行為について、デモ参加者が拘束されることへの恐れから医療措置を受けることをためらわせ、死や健康状態の悪化を招く恐れがあると問題視した。さらに、こうした行為は医療中立性の重大な侵害でもあると訴えた。ジュネーブ条約では公平な医療を確実にするため、医師と病院、患者が保護される必要性を定めている。 また、イラン全土で治安部隊は非武装のデモ参加者の胸部や頭部を銃撃し、無差別な武力行使をしているとして「こうした事例は(国際法に反する)違法な殺害や、恣意的な殺害があったことを示唆している」と語った。 その上で、イラン当局がデモ参加者を「テロリスト」や「暴徒」と見なす試みは深刻な問題であり、残忍な弾圧を正当化する意図があると批判した。