東大2汚職、背景に財政難か ガバナンス不全も 専門家「資金の出どころ確認を」

東京大で昨年11月以降、汚職事件が2件続き、東大病院医師と元大学院教授が収賄罪でそれぞれ起訴された。 背景には、国立大学法人の財政難と会計チェックなどのガバナンス不全があったとみられる。専門家は「研究費などを受け入れる際、大学が資金の出どころを確認すべきだ」と指摘する。 医療機器選定の見返りに現金を受け取ったとして昨年11月に逮捕され、その後起訴された同病院の医師松原全宏被告(53)は、賄賂受領の手段として奨学寄付金を悪用していた。奨学寄付金は財政状況が厳しい大学にとって貴重な財源だが、受領したことがある元同大教授は「飲み会の支払いや備品を買う雑費に使えた。自由度が高い」と明かす。 ある製薬会社元社員は「少なくとも6~7年前までは、営業現場の接待費として使っていた」と証言。医師に自社製品を勧めるために利用していたというが、特定の人物への利益供与になり得るとして業界で問題視されるようになり、近年は寄付を控える動きも出ていたという。 今年1月に逮捕され、その後起訴された元大学院教授の佐藤伸一被告(62)は、公共性の高い課題を民間企業などの資金を活用して共同研究する「社会連携講座」を舞台に、研究相手の一般社団法人に便宜を図る見返りに接待を受けていたとされる。 東大のある教授によると、同講座は特任教員を雇用し、5年ほどの研究費を確保できるため、大学としても推進していた。ただ、同被告は一般社団法人から研究費が支払われていないことを認識しながら大学に報告せず、大学側も見落とすなど管理はずさんだった。 医療ガバナンスに詳しい尾崎章彦医師は「大学は自ら資金を稼がないといけなくなり、出どころの意識が低い」と指摘。「大学の理念と相いれない企業からは受け取らないことが重要だ」と話す。 事件を受け、東大は先月28日に記者会見し、藤井輝夫学長は「未然に防げず、早期に気付けなかったのはガバナンスに問題があった」と謝罪した。同大は今後、社会連携講座の運営や奨学寄付金の受け入れ時などのチェック体制を見直す方針だ。

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