中村玉緒さん 浮気、逮捕、借金…耐え忍び、乗り切った数々の夫婦危機

【悼む】玉緒さんが勝新太郎さんと結ばれたのは1962年。「座頭市」「悪名」シリーズで大映を支えた勝さんとの結婚。歌舞伎俳優の二代目中村鴈治郎を父に持つ玉緒と、三味線方の杵屋勝東治を父に持つ勝。鴈治郎さんが反対したという話も聞いたが、2人は62年3月7日に東京・帝国ホテルで挙式。勝さんが亡くなるまで添い遂げた。 私が映画記者になったのは65年。大映京都撮影所に取材に出向く度、勝さんと玉緒さん夫妻には公私にわたり世話になった。撮影が終わると、祇園に繰り出して会食し、その後はクラブなどで酒席を共にした。 私事ながら京都に新婚旅行に行った時は勝新&玉緒さん夫妻が有名なスッポン料理屋「大市」に招待してくれた。フルコースだ。勝さんが「スッポンの血は新婚さんに効くから赤ワインで割って飲め飲め」と勧めると、「あなた、何を言ってるの?」と玉緒さんが勝さんの膝をつついてたしなめる。そんな姿が目に焼き付いている。 仲睦まじく見えた2人だが、結婚3年目の65年ごろから夫婦危機がマスコミで伝えられていた。一因は勝さんの浮気だ。その奔放な私生活に業を煮やしながらも玉緒さんは一貫して離婚を拒否。90年1月にハワイのホノルル空港で、勝さんが下着にマリフアナとコカインを隠し持っていたとして現行犯逮捕された時も、勝プロが14億円の借金を背負った時も、長男が「座頭市」の撮影中に真剣を使用して殺陣師の男性を死亡させる事件を起こした時も、玉緒さんは耐え忍び、家族の苦境を乗り切ってきた。 勝さんは「いつでも離婚していいんだぞ。おまえも浮気しろ」とうそぶいても玉緒さんは相手にしなかった。それくらいホレ抜いていた証だ。夫に先立たれた後はTBS「さんまのSUPERからくりTV」などバラエティー番組でとぼけたキャラ丸出しでお茶の間を和ませた。くしくも私と同級だった玉緒さん。やんちゃな夫君とこれからは天国で「喜劇」で共演してほしいと願いたい。(スポニチOB 脇田 巧彦)

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