OpenAIにChatGPTのチャット履歴提出を命令へ、「証拠になり得る」と米裁判所

仮想通貨スタートアップZero Edgeの元最高経営責任者(CEO)Richard Kim被告をめぐる詐欺事件で、米連邦判事は、検察が被告の「ChatGPT」アカウント記録の提出をOpenAIに命じることを認める判断を下した。Kim被告は、投資家から集めた資金を仮想通貨取引やオンライン賭博に流用したとして起訴されている。 検察当局の主張によると、Kim被告はZero Edgeが調達した430万ドルのうち約380万ドルを流用し、逮捕後にはChatGPTを使って、裁判戦略を含む自身の事件について調べていたという。裁判資料からは、Kim被告が投資家資金の不正流用や暗号資産取引、ギャンブルについてChatGPTと会話していた可能性も浮かび上がっている。なお、Kim被告は証券詐欺と電信詐欺について無罪を主張している。 米連邦地方裁判所のLorna Schofield判事は米国時間6月22日、ChatGPTのデータを保護しようとする弁護側の訴えを退け、AIのチャット履歴は捜索令状の対象となる第三者のデジタル証拠として扱えるとの判断を示した。この令状は、2023年10月から2026年5月までのKim被告に関するOpenAIの記録を求めるもので、プロンプトや回答、アカウント情報などが対象となる。 この事件は、AIチャットボットとの会話が法的な記録の一部になり得ることを改めて認識させるものだ。リサーチや個人的な相談にChatGPTなどのツールを利用する人が増えるなか、裁判所はAIのチャットを、電子メールやテキストメッセージ、検索履歴といった他のデジタル記録と同様に扱い始めている。つまり、法的なリサーチのためにチャットボットを使用したからといって、その会話の秘密が自動的に保たれたり、保護されたりするわけではない。 チャットボットとの会話は「秘匿特権」で保護されるのか? Kim被告の弁護団は、チャットボットのデータには事件に関する特権情報やリサーチ内容が含まれていると主張し、捜索令状の執行を阻止しようとした。弁護側によると、これらのデジタル記録はKim被告の内心の思考や弁護戦術、公判戦略を露呈させることになるため、保護されるべきだという。 これに対し検察当局は、秘匿特権が適用されるためには、法的助言を得る目的で、人間と資格を持つ法曹専門職との間で交わされた秘密の会話でなければならないと反論した。AIチャットボットは弁護士にはなり得ないという主張だ。 Schofield判事の決定は、Kim被告のChatGPTの記録が秘匿特権によって保護されるかどうかを判断することなく、令状の手続きを進めることを認めた。これにより、弁護側はOpenAIが令状に応じるのを差し止めることはできなくなった。ただし、Kim被告はその後も特定の記録について異議を申し立てることは可能だ。 この論争は、ChatGPTや「Gemini」、「Claude」といったツールを法的なリサーチに使用した際、その会話のプライバシーが保たれるのかという、拡大しつつある法的な問いに新たな一石を投じるものだ。 今回の決定は、2026年に入って下された「合衆国対ヘップナー事件」の画期的な判決の方向性とも一致している。この事件では、マンハッタンの別の連邦地裁判事が、AnthropicのチャットボットClaudeと被告人とのやり取りについて、秘匿特権や職務成果物の保護対象にはならないとの判断を示していた。 同事件で米連邦地方裁判所のJed Rakoff判事は、AIプラットフォームは弁護人ではなく、第三者のデータ収集者にすぎないと述べた。同判事は、被告人が弁護人の指示なしにClaudeを利用していたこと、またClaudeのプライバシー規約によって、チャットの機密性を主張する根拠が薄れている点に言及した。ただし、Rakoff氏は、弁護士の指示のもとでAIを利用した場合は扱いが異なる可能性があるとしている。 この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。

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