いわゆる“点検商法”が急増しています。 少年院を出たあとSNSで成功を語っていたリフォーム会社『NEXT HOME』社長の望月優矢容疑者(30)。必要のないトイレの改装工事を行ったなどとして、社員ら3人とともに準詐欺の疑いで逮捕されました。 “準詐欺罪”とは、未成年者や判断能力が十分ではない高齢者などに対し、その判断力の低さにつけ込み、金などを奪い取る犯罪です。 警察によりますと、望月容疑者らがターゲットにしていたとされるのは認知症の人。 「上の階で水漏れがあったから点検させてほしい」という趣旨の話を持ち掛け、集合住宅で手あたり次第に営業を繰り返していたといいます。 認知症とみられる人を見つけると、アプリ内で『激アツ』『ド当たり』といった言葉で共有していたといいます。 逮捕容疑となったのは、2024年、千葉県松戸市。一人暮らしをしていた80歳の女性の自宅に上がり込むと、トイレの周辺に、あらかじめ用意していたペットボトルの水をまいたうえで、女性に「修理をする必要がある」と告げたといいます。 女性は、認知症でした。 望月容疑者らは、6回にわたり、工事契約を結び、合計1995万円を振り込ませたとみられています。契約は、トイレの改装だけではありません。キッチンやフローリング、インターホンの工事などにも及びました。しかし、実際には代金を受け取りながらも、工事をしなかったケースもあったといいます。 警察によりますと、『NEXT HOME』は、3年の間に800人以上と契約し、約10億円を売り上げていたといいます。 リフォーム会社を知る人 「ちょっと正体がわからない。エレベーターの中で、たばこを吸って降りてきたり。それに“テレアポ”の人を高い時給で募集しているから、どんどん入って、どんどん辞めていく話は聞いた」 約9年前、少年院を出て、更生施設にいた望月容疑者。当時、社会復帰を支援していた室田斉さんは、こう話します。 室田斉さん 「本人が更生して、うちに来たときに『更生して頑張ってます』って。初めて親に会いに行って、親も喜んでいた。私もうれしかった」 望月容疑者は、施設で真面目に過ごしていたといいます。室田さんが経営する会社で働きながら、メディアに出ることも、少年院で講演をすることもありました。 しかし、コロナ禍になると、「独立する」と退職。その際、会社の顧客情報を持ち出していました。 室田斉さん 「コンセントがあるじゃないですか、普通の家庭のコンセント。漏電の危険性があるからと、年寄りのところへ行って『かえたほうがいいですよ』と。1個500円とか300円とかだった。それを1個1万円で、30個で30何万円だと。うちの会社にいたときは、一切、そんなことはない。辞めた途端、そういうことを始めた」 未遂に終わったものの、顧客をまわり、普通のコンセントを高額で売りつけようとしたといいます。 その後、望月容疑者は、室田さんとは連絡を断つ一方、同じ施設にいた知人らを会社に誘うようになりました。 警察は、望月容疑者を含めた4人の認否を明らかにしていません。一方で、ほかにも余罪があるとみて捜査しています。 ◆最近、急増している“点検商法”。国民生活センターによりますと、点検商法とは、住宅の点検を装って訪れた業者が「工事をしないと危険」などと言い、商品やサービスを契約させるものです。 ここ数年で、相談件数が一気に増え、年齢別では、70代以上が65%と、最も多くなっています。 ◆最近の手口について、東京都消費生活総合センターの高村淳子 相談課長に聞きました。 高村さんは「水漏れや水回りの点検をうたうケースが多い。例えば『水回りで気になるところはありませんか』と訪問。『こびりついた汚れをきれいにします』『1カ所だけでなくほかも洗浄します』と高額の契約へ。ほかにも多いのが、電気やガスの点検をうたうケースです。『分電盤が古いと漏電し火事になる』『給湯器を早めに交換しないとお湯が出なくなる』などと不安をあおり、その場で高額な契約に持ち込む」といいます。 被害を防ぐため、対策は何かあるのでしょうか。 高村さんは、大事な点を大きく2つ指摘しています。 「点検商法の被害にあわないためには、業者を家に入れないこと。『点検は要りません』とはっきり断る。そして、その場で契約・工事をしない、させないことが大事だ」といいます。 ただ、こうした対策、認知機能が衰えつつある方の場合には難しいことも多いです。 高村さんは、有効な対策として「録画・録音機器の活用。録画機能付きのインターホンや、録音機能付きの電話を設置することで、すべて記録し、業者を特定できるようにし、詐欺被害を“事後的に”特定しやすくする。録画録音機器の設置を明示することで、悪質業者への“抑止力”につながる可能性もある」と話します。 ただ、これで、すべてを防ぐことはできないとして、高村さんは「認知症の場合、周りが防ぐしかない。家族や介護ヘルパーなど、周囲の人が、常に気にかけておくことが大事。本人に『変わった様子はないか』と聞く。契約書は常に見える位置に置くなど、決めておく。さらに、近所の人に声をかけ様子を見守ってもらい、不審な点があれば、報告してもらうようにお願いすることも大切」といいます。 点検商法は、契約日から8日以内であれば、『クーリングオフ』無条件での契約解除が可能です。それ以降でも、「このままでは家が壊れる」など、不安をあおる、嘘をつくなどして契約した場合は、『クーリングオフ』できることもあるといいます。 契約の相談や困ったことは、消費者ホットライン『188』に電話すれば、最寄りの消費生活センターなどにつながります。