【07月26日 KOREA WAVE】韓国警察は、1950年代に「政治ヤクザ」として知られた故イ・ジョンジェ氏(1917〜1961)を“精神的支柱”として仰ぐ若手暴力団「東大門(トンデムン)派」などの組員40人を検挙したと発表した。このうち東大門派の実行部隊責任者ら14人を拘束した。 警察によると、検挙されたのは東大門派の21人と、連携する3組織の19人。いずれも20代前半から30代前半の若者だった。 東大門派は2017年から2026年2月にかけて、地域の「番長」と呼ばれていた中高生らに「由緒ある組織だ」と勧誘し、新たに16人を引き入れた。若者らを共同宿舎に住まわせ、厳しい上下関係や行動規則を叩き込んでいたという。 組織内では、先輩を「ヒョンニム(兄貴)」と呼ばせて90度のおじぎ(日本風の挨拶)を強要。先輩の許可なしの喫煙を禁じたほか、組織名を刺青で彫ることや、脱退者への報復などを規則に掲げていた。 ◇面識ない伝説の頭目を「追悼」 組織が掲げたイ・ジョンジェ氏は、韓国の解放後に東大門一帯で勢力を拡大し、イ・スンマン(李承晩)政権下で政権与党の後ろだてを得て暴力を振るった人物(1961年に死刑執行)。 組員らは面識がないにもかかわらず、2025年10月にイ・ジョンジェ氏の追悼式を開催していた。また、メンバーが逮捕された際は面会当番を決め、弁護士費用や示談金を組織で支援していたほか、指名手配中であっても冠婚葬祭への出席を義務付けていた。 ◇捜査記録2万5000P 暴行動画から一網打尽 捜査のきっかけは2025年2月、東大門派による「組員同士の集団暴行動画」を警察が入手したことだった。 韓国で「暴力犯罪団体」として立件するには、個別の事件だけでなく組織の上下関係や行動規則、連絡網などを証明する必要がある。警察は通信記録や防犯カメラの映像を長期間追跡し、捜査記録95冊(約2万5000ページ)に及ぶ綿密な立証を進めた。 東大門派は摘発を逃れるため途中で共同宿舎を閉鎖していたが、警察は閉鎖後も一体となって活動していた実態を突き止めた。また、振り込め詐欺や投資トラブル(詐欺チャットルーム運営)への関与についても追及を続けている。 ソウル警察広域犯罪捜査第2係のペ・ウンチョル係長は「若者の間には『暴力団に入れば高級車に乗り、大金を稼げる』という誤ったイメージがある」と指摘。「実際には共同宿舎で暴行を受け、昼夜を問わず呼び出される過酷な環境だ。脱退しようとすれば報復を受ける恐れもある」と述べ、安易な勧誘に乗らないよう強く警告した。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News