改造車の脱落タイヤ直撃で愛娘は今も意識不明、判決待つ父親の苦悩「加害者は無保険、口先では賠償すると言うが…」

(柳原 三佳・ノンフィクション作家) 2023年11月、札幌市西区で不正改造車が試運転中にタイヤを脱落させ、ガードレールのついた歩道を父親らと歩いていた幼い女児を直撃する事故が発生した。頚髄損傷等の重傷を負った被害女児(当時4)は、事故から1年半たった現在も意識不明のまま入院中だ。刑事裁判の判決は4月24日に下される予定だが、本件事故車は任意保険未加入で、加害者には賠償能力がないという深刻な現実も立ちはだかっている。女児の父親が、被害者と家族の過酷な状況と加害者への怒りを、ノンフィクション作家の柳原三佳氏に語った。 ■ 不正改造、整備不良が取り返しのつかない惨事を 1年半前、札幌市で起こったこの事故の第一報を目にしたときの衝撃を、今もはっきりと記憶しています。(以下は1年後の報道) (外部リンク)STVニュース北海道の報道(2024年10月23日放送) 前方から突然襲い掛かってきたタイヤに衝突され、4歳の女の子が意識不明の重体に……。私はニュースで映し出された事故車の外観に違和感を覚え、事故当日、以下のオーサーコメントを書いていました。 〈歩道を歩いていた被害者にとってみれば、まさに不可抗力の、大変痛ましい事故です。ニュース映像でタイヤが外れた部分を見ると、ボルトは折れていないようなので、直接的な原因はホイールナットの緩みによるものでしょう。(中略)また、映像を見て気になったのは、ワイドタイヤが装着され、それに伴ってオーバーフェンダーが取り付けられていることです。これにより車体全幅は軽自動車の上限を超える可能性があります。しかし、ナンバーは黄色(軽自動車)です……〉 その後の調べで、この車は不正改造車だったこと、また、左の前輪が脱輪したのはホイールナットの緩みが原因であることも明らかになっています。 法を守り、整備をきちんと行っていれば、このような事故は起こりえません、それだけに、大人の身勝手による無責任な趣味によって、ひとりの女の子の未来が奪われたことに強い憤りを覚えました。

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