特殊詐欺に関与したとして、警視庁捜査2課は22日、大阪府豊中市、職業不詳、樋口拓也容疑者(37)ら男女3人を詐欺容疑で逮捕したと発表した。広域強盗事件を起こした「ルフィ」を名乗る指示役らのグループによる事件の被害金をマネーロンダリング(資金洗浄)し、フィリピンに潜伏していた指示役に還流させていたとみられる。 警視庁は樋口容疑者らは「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」で、詐取金などを継続的に資金洗浄していたとみて実態解明を進める。 ほかに逮捕されたのは、東京都品川区、職業不詳、相田栄幸(33)▽東京都目黒区、無職、福井かおり(48)――の2容疑者。 逮捕容疑は仲間と共謀して2023年4月中旬ごろ、通信事業者などになりすまし、「有料動画サイトの未納料金がある」などと千葉県の60代男性にうその電話をし、現金約120万円を複数の口座に振り込ませてだまし取ったとしている。警視庁は3人の認否を明らかにしていない。 警視庁によると、樋口容疑者は、組織的に資金洗浄していたとみられる犯罪グループの幹部だという。警視庁が、ルフィグループによる被害金の流れを調べたところ、うち約1000万円が当時都内にあった樋口容疑者の自宅に運び込まれていたことが判明した。 また愛知県内で起きた別の詐欺事件で仮想通貨に換えられた被害金について、福井容疑者が資金洗浄役として現金化した疑いも浮上。現金は相田容疑者が樋口容疑者の自宅に運び込んでいたとみられる。樋口容疑者はグループ内で資金を管理する「金庫番」で、相田容疑者は現金の運搬役を担っていたとされる。 樋口容疑者の仮想通貨(暗号資産)の口座を解析したところ、他にも詐欺事件の被害金が複数の口座や海外の取引所を経由してから、福井、相田両容疑者を通じて樋口容疑者の元に渡っていた。樋口、福井両容疑者の間では最近3カ月で11億円以上が換金されていたという。【山本康介、長屋美乃里】