ミャンマーの大地震から28日で1カ月となったのを機に、クーデターで実権を握った国軍に対抗する民主派政治組織「挙国一致政府(NUG)」の広報担当者、チョーゾー氏が産経新聞の書面インタビューに応じた。チョーゾー氏は地震発生後も国軍が空爆を続けていることなどを非難。市民を弾圧したまま、今年12月にも総選挙を実施しようとしていることに反発し、日本などに事態を無視しないよう訴えた。主な一問一答は以下の通り。 --ミャンマーの現状はどうなっているのか 「軍政は2021年2月のクーデター以降、全土の学校に200回以上の空爆を行い、350以上の医療施設に被害を与えた。135人の医療従事者が殺害され、835人が逮捕された。500以上の宗教施設が焼失または破壊され、約200人の宗教指導者が恣意(しい)的に拘束され、宗教的少数派を含む推定3万人の市民と民主活動家が軍政と親軍政グループに殺害された。軍政による残虐行為は、大量移住、フェンタニルなどの違法麻薬密売、数十億ドル規模のサイバー詐欺事業や多国籍犯罪ネットワークなど国境を越えて広がる脅威を生み出し、人道的危機を引き起こしている」 --国軍は今年12月か来年1月に総選挙を行う予定だ 「偽の選挙で正当性を主張するつもりだ。非合法な選挙はこの地域にさらなる暴力を誘発し、不安定をもたらすだろう。国土の大部分は現在、NUGと民族抵抗勢力の支配下にある。軍政の支配地域は25%にも満たない。市民を標的にした逮捕や拷問、空爆が行われている状態で真の選挙などできるわけがない」 --国軍と少数民族武装勢力、NUG傘下武装組織「国民防衛隊(PDF)」との間で停戦表明後も戦闘が続いている 「地震後の3月30日、NUGは被災地での攻撃の一時的な人道的休止を発表し、私たちの民族同盟も同様の人道的休止を発表した。4月2日、軍政も同様の休止を発表した。当初から、私たちの立場は明確だ。政治的志向に関係なく、援助を必要とする人には、どこでも無制限の援助を提供する。対照的に、軍政は地震があった3月28日から4月23日までの間に、被災地を含めた地域に196回の空爆と64回の砲撃を行い、市民235人を殺害、427人を負傷させた。ターク国連人権高等弁務官も国軍が停戦を発表したにもかかわらず、攻撃を続けており、既に悲惨な状況を悪化させていると警告している」 ■人道的支援の拡大を