「スパイ・ユーチューバー」 パキスタン諜報機関に協力したインフルエンサーの女逮捕 印

4日間に渡る武力衝突も起きたインドとパキスタンの対立を巡り、暗躍していた女「スパイ」が関心を集めている。インド当局に逮捕されたのはジョティ・マルホトラ容疑者(34)。旅行を題材にした動画投稿で40万人近い登録者を持つユーチューバーだ。「タイムズ・オブ・インディア」など現地報道は、視聴回数やフォロワー欲しさからパキスタン側の資金で番組を制作し、インドにとって「敵」であるパキスタンに有利な世論作りに加担したとする警察当局の見立てを伝えている。 マルホトラ容疑者はユーチューブ以外に、約13万人のフォロワーがいるインスタグラム、フェイスブックなどで自身の旅行番組や写真を投稿していた。「Travel with JO」というタイトルのユーチューブ番組にはパキスタンや印パの係争地であるカシミールを訪れる内容の動画もアップ。パキスタン旅行では「この旅は愛に満ち溢れていた」と話していた。 インドの報道によると、マルホトラ容疑者は「ダニッシュ」と呼ばれるパキスタン諜報機関員と親密な関係になり、工作員になるよう仕向けられたという。 ■豪華ホテル、列車…謎の収入源 当局が関心を持っているのが財務状況だ。パキスタン旅行に関しては「スポンサー付き」で、宿泊先の確保や訪問地のアテンドなどはパキスタン側が行っていたとされ、他の旅行動画や写真には豪華なホテルや列車が登場しているものの収入源の裏付けがないためだ。 マルホトラ容疑者は軍などの機密情報に直接アクセスできないが、パキスタンにとっては有用だったようで、インド当局幹部は「現代の戦争では、敵はインフルエンサーを利用して都合の良い物語を作り上げる。今回のケースがまさにそうで、彼女は罠に落ちた」としている。 インドの報道はインテリジェンス分野におけるSNSの活用方法の多様化を指摘している。 従来の手法はインドの軍や治安機関の主に男性職員を標的に、SNSを利用して女性が接触をはかるもので、実際にフェイスブックを利用してパキスタン側の女性スパイが陸軍将校に接触した事実が発覚。加えて、最近はSNSで多くのフォロワーを持つ影響力のある人物が標的になっているとされ、インド当局はマルホトラ容疑者と同様の事案があると見て、複数の州でコンテンツクリエーターの捜査を進めている。

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