いますぐ『ローグ・ワン』が観たい!「キャシアン・アンドー」完結に、絶賛の声が相次ぐ「ありがとう、希望を信じた名もなき英雄たち」

ディズニープラスで独占配信中の「スター・ウォーズ」のドラマシリーズ「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」。シーズン2の12話までが先日配信され、シリーズの原点へと続く“最後の物語”が完結した。本作は『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)(以下、『ローグ・ワン』)で主人公ジン・アーソをサポートしたキャシアン・アンドー(ディエゴ・ルナ)の素顔を追ったスピンオフだ。 映画レビューサイトRotten Tomatoesでは、シーズン1が96%、シーズン2は実に98%と、「スター・ウォーズ」ドラマ史上もっとも高い数字をたたき出している。IMDbでもシーズン2の8話から最終回12話まで5話連続でユーザースコア9.5以上を記録した初のドラマシリーズになるなど、「スター・ウォーズ」という枠に留まらない、歴史的な高評価を獲得。最終話配信後には、SNS上でも「アンドーほんとに傑作すぎて…SWの歴史も評価も塗り替えたんじゃない…?」といった絶賛の声が高まっている。そこで本稿では、筆者の総括レビューと共にSNS上での感想投稿をピックアップ!『ローグ・ワン』へのつながりに感極まったファンたちの声を紹介していきたい。 ※本記事は、「キャシアン・アンドー」のネタバレ(ストーリーの核心に触れる記述)に該当する要素を一部含みます。未見の方はご注意ください。 ■ジェダイとは無縁の物語だからこそ、「フォースと共にあれ」というセリフが胸に響く シリーズの原点『スター・ウォーズ/新たなる希望(エピソード4)』(77)のキーアイテムとなるデス・スターの設計図。その入手作戦を描いた『ローグ・ワン』でのキャシアンは、「これまでスパイや破壊工作、暗殺など汚れ仕事をしてきた」と語っていた。そのセリフどおり「キャシアン・アンドー」のテイストはスパイサスペンスとなっている。惑星フェリックスで帝国の物資を盗んで売りさばいていたキャシアンが、反乱同盟のルーセン(ステラン・スカルスガルド)にリクルートされスパイとなり、危険なミッションに挑む姿が描かれた。 製作を総括したのは『ローグ・ワン』で共同脚本を務めた脚本家、映画監督のトニー・ギルロイ。圧倒的な組織力を誇る帝国との息詰まる情報戦や銃撃戦などアクションだけでなく、リスキーな存在として同胞から命を狙われるなど、得意とするハードな作風を生かし見事に『ローグ・ワン』へとつながる物語を構築。その世界観は、次々に新機軸を打ちだし高い評価を得ている「スター・ウォーズ」実写ドラマシリーズのなかでも、異色さが群を抜いている。 キャシアンが行きずりで犯した殺人事件を追うシリル・カーン(カイル・ソーラー)、アクシスと名乗り暗躍するルーセン逮捕に全力を傾けるデドラ・ミーロ(デニス・ゴフ)など、帝国側の超個性的キャラクターもスリルやサスペンスを盛り上げている。ふとした油断や判断が死に繋がるシビアなミッションに加え、親友ブラッソ(ジョプリン・シブテン)や自分を導いた養母マーヴァ(フィオナ・ショウ)との死別、恋人ビックス(アドリア・アルホナ)との別れなど人間ドラマも極めてシリアス。『ローグ・ワン』で反乱同盟のスパイ仲間をリスクになるため殺害する冷酷さを見せたキャシアンだが、本シリーズを観ると容赦ない彼の行動原理がよりクリアに見えてくる。 反乱軍の盟友メルシ(ダンカン・パウ)との出会い、相棒になるドロイドK-2SOが反乱同盟に参加するいきさつや、過激な活動家ソウ・ゲレラ(フォレスト・ウィテカー)との関係など『ローグ・ワン』における各キャラクターの立ち位置も、本作でより明確化されている。キャシアンには行方不明の妹がいることも明かされていたが、ロマンス説もあったジンへの想いは妹に対する“それ”だったのか…など想像が膨らむのもお楽しみ。シリーズを通し、あらためて『ローグ・ワン』の懐の深さも実感させられるのだ。 キャシアンだけでなく、反乱同盟の設立者の一人、モン・モスマ(ジェネヴィーヴ・オーライリー)にスポットを当てているのもポイントだ。取り巻く政治家たちとの駆け引きや運営費の資金調達、方法論の違いから対立する同志たちとの確執まで反乱軍の舞台裏を、暗部も含め描いており“反乱同盟秘史”としても見応えあり。『ローグ・ワン』でスカリフの帝国安全管理施設の攻撃に異を唱えた反乱軍のドレイヴン将軍、パムロやジェベルといった評議員も登場し、無謀なキャシアンを断罪。『ローグ・ワン』で彼らがジンと彼女がもたらした情報を否定する伏線になっているのもおもしろい。 フォースやジェダイと無縁の本作だが、無謀なキャシアンを敵視していたレイアの養父ベイル・オーガナ(ベンジャミン・ブラット)が、旅立つキャシアンに「フォースと共にあれ、キャプテン」と声をかける胸アツなやりとりもぐっとくるものがあった。 ■「ジェダイもライトセーバーも出てこないけれど、“家族の物語”であるからこれはSW作品だと心から言い切れる」 日本でも配信スタート直後から高評価の声がSNS等で飛び交い、完結後には称賛がやまない「キャシアン・アンドー」。全24話を完走したユーザーの声でもっとも共通しているのは、やはり“『ローグ・ワン』が観たくなる!”という点だろう。「『アンドー』を観終わったら『ローグ・ワン』を観たくなり、『ローグ・ワン』を観たら『新たなる希望』を観たくなり、『新たなる希望』を観たら『帝国の逆襲』を…」という投稿もあるように、無限「スター・ウォーズ」状態になった人もいるのでは!?ここからは、そんなSNS上での声をピックアップして、その魅力をひも解いていこう。 フォースもジェダイも登場しない「スター・ウォーズ」として話題を呼んだ『ローグ・ワン』。その前日談である本作も「通常の"スター・ウォーズ"とは違うテイスト、それは主人公やその周りの人が、フォースと無縁の普通の人間だという事。スター・ウォーズ興味ない人にもオススメしたい!」といった、『ローグ・ワン』の独自路線を継承したことを評価する声が多かった。 「『スター・ウォーズ』でずっとやってほしかったポリティカルスリラーを真正面から極上の形でやってくれた」 「懸命に繋がれていった物語は『ローグ・ワン』へと続いていく…政治劇や反乱軍創設までのプロセスをとことん見られたのが嬉しかったなぁ」 そんな独自路線を貫きながら、もちろんその世界観は「スター・ウォーズ」が受け継いでいる。「ジェダイもライトセーバーも出てこないけれど、“家族の物語”であるからこれはSW作品だと心から言い切れる。権力、支配、反乱、様々な戦禍に巻き込まれていく人々の、多様な愛の形(あるいは愛の喪失)をじっくりと味わうことができた」など作品テーマを分析している声もあった。 そして、「最終話での最後のエンドロールでの音楽ズルい。鳥肌たったよ!」、「あれだけ『スター・ウォーズ』の王道からは外れた作品なのに一切のてらいなく、“私達が紡いだのはまごうことなく『スター・ウォーズ』ですよ”で締めたのがもう本当にね」のように、「スター・ウォーズ」おなじみの曲で感極まったファンも。エンドロールは最後の最後までスキップ厳禁! 『ローグ・ワン』のキャラクターや事象、セリフを生かし、行間を埋めるように膨らませていった本作。 「『アンドー』を観てからの『ローグ・ワン』は、素晴らしさが増した。ジンの目線で見てきたものにキャシアンの目線が足されることで、より深く味わい深い映画になったと思う」 という感想にあるように、登場人物のバックグラウンドが本作で増したことで、『ローグ・ワン』に新たな魅力が加わったことを実感できる。本作はスピンオフという枠を超え、『ローグ・ワン』と合わせて一つの物語だと言ってよいだろう。 「『アンドー』、『ローグ・ワン』、プリクエル見てからep6ラスト見ると色んな人たちの犠牲と思いが詰まってるんだなって感極まって泣いちゃった」 「元々名作だった『ローグ・ワン』が完全無欠の作品になりました。ありがとうアンドー。ありがとう希望を信じた名もなき英雄たち」 ■断片的に描かれたキャラクターたちも…今後の展開にも期待が高まる! 理想的な形でドラマシリーズ化された「キャシアン・アンドー」。キャシアンの物語はこれで幕を閉じたが、反乱軍を陰で支えたルーセンと助手クレヤ(エリザベス・デュロー)や、過去の断片が明かされたソウ・ゲレラ、さらにキャシアンと生き別れた恋人ビックスや妹などシリーズを通し魅力的なキャラクターが多く生みだされた。 彼らの別のエピソードも、今後何らかの形で映像化されることに期待が高まる。『新たなる希望』の冒頭の一文から派生した『ローグ・ワン』。そこに端を発したワールドが、これからも広がっていくことに期待したい。 文/神武団四郎

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