横浜市内で養父からの虐待を理由に一時保護した児童が帰宅してから1年余り後、養父が児童に虐待し、逮捕される事件が起きていたことが2日、分かった。保護解除後、養父の虐待を疑う情報が関係機関から何度も寄せられたが、市児童相談所は再保護しなかった。外部検証委員会は組織的な対応が不十分だったと指摘し、市も取材に対応の不備を認めた。 有識者でつくる「児童虐待による重篤事例等検証委員会」(委員長=川﨑二三彦・子どもの虹情報研修センター長)が関係機関に聞き取りをするなどして報告書をまとめ、同日の市会常任委員会で公表された。 報告書によると、虐待の被害に遭ったのは、当時小学1年の児童(7)。ともに20代の実母と養父、2人が実親の弟(4)、妹(2)の5人で暮らしていた。 児童が一時保護されたのは就学前だった2021年度。養父が弟を虐待したとして、きょうだい3人とも保護された。その後解除され、3人は帰宅したが、約1年4カ月後の22年度、児童は養父に浴槽に沈められたり、シャワーヘッドで殴られたりし、頭を2針縫うなどした。養父は傷害容疑で逮捕され、有罪判決を受けた。 児童には発達障害があり、両親から18年度以降、身体的、心理的に虐待され、区や児相が対応してきた。養父は暴力で児童を制圧する傾向があり、自身も暴力が容認される環境で育ったという。