大川原化工機国賠訴訟、国と東京都が上告断念 「深くお詫び」警視庁は検証チーム設置

噴霧乾燥機の不正輸出容疑で逮捕され、後に起訴が取り消された精密機械製造会社「大川原化工機」(横浜市)の社長らが国家賠償を求めた訴訟で、警視庁の捜査と東京地検の起訴を違法として賠償を命じた2審東京高裁判決について、国と東京都は11日、最高裁への上告を断念したことを表明した。捜査の違法性を認定した判決が確定する。警視庁は捜査の問題点を洗い出す「検証チーム」を立ち上げ、再発防止策をとりまとめる。 警視庁は「本判決を重く受け止めるとともに、捜査によって原告、当事者の皆さまに多大なご心労、ご負担をおかけしたことについて深くおわびを申し上げたい」とした。 先月28日の2審判決は、「合理的根拠が客観的に欠如していた」とし、社長らの逮捕や起訴を「違法」とした1審東京地裁判決をおおむね踏襲。逮捕、起訴どちらの違法性も認定し、都と国に計約1億6600万円の賠償を命じていた。 事件を巡っては、警視庁公安部が令和2年3月、同社が生物兵器に転用される恐れのある噴霧乾燥機を無許可で輸出した疑いがあるとして社長らを逮捕。東京地検が起訴した後、公判が始まる前に取り消した。 控訴審では、輸出規制に関する経済産業省令の解釈や同社元役員に対する取り調べの適正性などが争点となった。噴霧乾燥機が規制対象に当たらない可能性があるとの情報を捜査機関が得ていたのに、追加捜査を行わず逮捕、起訴に踏み切ったと指摘。「犯罪の嫌疑の成立にかかる判断に基本的な問題があった」とした。

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