いわき市水道局の配水管改良工事入札に絡む官製談合容疑事件は、信頼の上に成り立つ市政に重い課題を突きつけた。秘密事項の設計金額を業者に漏らしたとして、水道局職員が官製談合防止法違反などの疑いで県警に逮捕された。市は入札制度の見直しなどを進めているが、自分事として本分を見つめ直す全庁的な意識改革が欠かせない。 問題の入札は昨年1月に一般競争で行われ、誤って算出された最低制限価格と同額で市内業者が落札した。落札業者の社長と取締役は水道局職員から教えられた金額を基に落札したとして、公契約関係競売入札妨害の疑いで職員と同じ今月18日に逮捕された。 市は昨年8月に入札をやり直したものの、再び最低制限価格を誤り、これと同額で別の3社が応札する事態となった。逮捕された職員は、やり直しの入札には関わっていないとされる。社長らが逮捕された業者は昨年1月以外にも最低制限価格と同額で応札した事例が確認されている。市は情報漏えいを防ぐため今年度、業者が入札してから開札時に無作為の係数を利用して最低制限価格を決める仕組みを導入した。今後も検証を重ね、前例にとらわれず制度を見直していく必要がある。