「もともと小さい子が好きで、お酒を飲んで気が大きくなったため犯行に及んでしまいました」 8歳の女児に性的暴行を加えたことは認めつつも、犯行に及んだのはアルコールのせいだと主張していた山口綾太被告(34)に判決が下された。 7月11日、横浜地裁で、寺澤真由美裁判長は、「まだ性的行為の意味さえ理解できないであろうAに対して、強い恐怖を与える卑劣かつ悪質なものである」「(前科の)刑の執行終了後3年あまりで、さらに幼い女児に対し、より被害の大きい犯行に及んでおり、その意思決定は強い非難に値する」として、懲役7年の求刑に対して懲役6年6ヵ月の実刑判決を言い渡した。 「’25年2月6日、神奈川県警相模原署は、Aさん(当時8歳)に性的暴行を加えたとして山口綾太被告を不同意性交等の疑いで逮捕しました。 事件は’24年9月3日に起きました。Aさんは父親の誕生日プレゼントを買って、自宅に帰る途中で被害に遭ったということです。Aさんが、通っている小学校の前で泣いているところを教員が気づき、110番したことから事件が発覚しました。 このときすでに山口被告には前科がありました。’19年3月23日に、11歳から12歳の3人の小学生女児への強制わいせつの罪で懲役2年4ヵ月の実刑判決を受けていたのです」(全国紙社会部記者) 山口被告はAさんの事件の警察での取り調べで、犯行に及んだ動機を次のように供述していた。 「その日、ウイスキーを飲んでムラムラした気分が爆発しそうでした。我慢の限界がきたので、誰かを襲おうと人通りの多い、店舗が集まる場所に向かいました」 そして、たまたま目に止まったのが自宅へ帰る途中のAさんだったというのだ。 4月14日に開かれた初公判で、起訴状や検察の冒頭陳述から明らかになった山口被告の犯行は、あまりにもおぞましいものだった。 「山口被告はAさんを空き地に連れ込み『騒ぐな、殺すぞ』などと脅した上で、Aさんの陰部に指を挿入するなどの性的暴行を加えました。山口被告はアルコール依存症で、出所後は支援施設で治療に取り組んでいましたが、人間関係がうまくいかないとの理由で入退寮を繰り返し、事件当時は路上生活をしていました」 前回の事件でも、やはり犯行時に飲酒していたという山口被告。5月22日に開かれた第2回公判で行われた被告人質問では、検察官の質問に答える形でアルコールの影響について、次のように述べていた。 ◆風俗に行けなかったから児童を襲った? 「お酒を飲んでしまうと、本当にもう記憶が飛んでしまい、飲んでなければ、(事件を起こすことは)本当になかったです。お酒のせいにしてしまうんですけど、事件当時は飲みすぎていて、いけないこととわかっていたんですけど、やってしまいました」 さらに、お金がなく、飲酒で高まった性欲を解消する手段がなかったと続けた。 「私はお金もなく、風俗に行くこともできないので、犯行に及んでしまいました。風俗にも行けなくて、小さい子も好きで、やってしまいました」 しかし検察官が「今回の犯罪の原因は、風俗に行けないことなのか、小学生くらいの女児に性的な行為をしたかったのか、どちらですか」と質問すると、このように答えたのだった。 「私は、まだ幼くて何も知らない小さな子が好きなので、そういう子を狙ってしまいました」 被告人質問の最後に、検察官の「今後、どういうふうにしていこうと思ってますか」という質問に、山口被告はアルコール依存症からの脱却を約束した。 「社会に復帰したら施設に入り、施設の指示に従って、ちゃんと逃げないようにやっていきたいと、本当に思っています。お酒はもう今後、一生飲まないことを誓います」 第2回公判では、以前、山口被告が入寮していた支援施設の施設長が弁護側の証人として出廷し、出所後の受け入れを約束している。 金髪混じりの長髪をバッサリ切り、坊主頭で入廷した山口被告は、寺澤裁判長が量刑の理由を述べ「以上です」と告げると、裁判長に向かって深々と頭を下げたのだった。 「小さい子」が好きでも、お酒さえ飲まなければ犯行に及ぶことはないと主張し続けた山口被告。今度こそ、アルコールの誘惑を断ち切り、新たな被害者を出すことがないよう更生できるだろうか。 取材・文・写真:中平良