名取市の県警察学校で、県内の新聞社やテレビ局の若手記者向けの授業体験があり、警察担当の記者(23)が参加した。厳しい授業や訓練を通じ、ほぼ同年代の警察官らが切磋琢磨(せっさたくま)する姿に気は引き締まり、県民の安全や命を守る仕事の大変さを肌で感じた。 ■重装備、駆け足… 辛い訓練、染みる励まし 最初の授業の逮捕術では警棒を体験した。女性巡査が機敏な動きの手本を見せてくれたが、警棒の重さと日頃の運動不足で思うように体が動かない。噴き出す汗。髪は乱れ、化粧は消え去った。軽い気持ちで参加したことを後悔した。 次は鑑識の授業。テレビで見たことがある「耳かきの大きなポンポン」を使って指紋採取に挑む。決まった持ち方で同じ方向に優しくたたかないと、大切な証拠を失う。1時間目とは打って変わって繊細な作業。「すごく上手です!」。巡査らの励ましが早くもバテ気味の心と体に染みた。 待ちに待った昼食。メニューはカレーライスだ。「いただきます」。号令から1分足らずでお替わりの列ができた。記者も遅くはないが、ここまでとは。やはり体力勝負。驚く記者のそばで、教官は「そんなに急がなくてもね」と苦笑い。 座学を終え、ついに部隊活動の時間。気温が30度を超える炎天下、長袖、長ズボンの出動服を着た。プラスチックなどで作られたプロテクタを装着。ヘルメットは首の力を緩めると重さを支えられない。短い距離の移動もかけ声を上げながらの駆け足だ。 体験は整列や回れ右だけでは終わらず、金属製の重い盾を抱えて走った。まだ走るのか。教官から「動きをそろえるだけではなく、声を出せ」と気合を入れられる。普段は資料やパソコンを入れた重いリュックサックを背負って移動しているが、比較にならない重さだった。 訓練に励む巡査らに話を聞いた。「昼食時間に同期と話せるのが癒やし」「教官に怒られるが、同期と寮で過ごすのが楽しい」。同じ目標に向かう109人。どの場面でも、それぞれが小まめに相談や指摘をし合う姿が印象的だった。 授業体験は7月25日にあった。互いに敬意を忘れず、声をかけ合い、高め合う。同世代の巡査らから学ぶことが多い一日だった。 (三浦瀬那)