「不法滞在者向けの仕事に応募」元技能実習生ら「出し子」容疑で逮捕

ベトナムの匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)から指示を受け、日本国内で犯罪収益を引き出したなどとして、神奈川、広島両県警がベトナム人の元技能実習生ら3人を窃盗容疑で逮捕したことが、捜査関係者への取材でわかった。 逮捕されたのは、元技能実習生でベトナム人の22歳の女と24歳の男、団体職員の男(41)の3人。 捜査関係者によると、3人は共謀して6月9日、ロマンス詐欺の被害金などが入金された口座から、現金約41万円を引き出した疑いがある。 また、3人は5月下旬から6月初旬、ベトナム人や日本人名義の約130口座から計約1億円を引き出したとみられるという。神奈川県警は、これらも詐欺の被害金の可能性があるとみている。 一方、捜査の過程で、ベトナム人2人は技能実習生として来日するために多額の借金を抱え、闇バイトの募集に応じていた構図が浮かんだ。 2人は2022~23年に来日し、工場勤務や型枠職人をした後に失踪していた。これまでの捜査に対し「来日のために借金を背負い、実習先を解雇されて闇バイトで返済するしかなかった」と説明しているという。 実習先を解雇されて不法滞在となったあと、フェイスブック上でベトナム語の「不法滞在者向けの仕事あります」という趣旨の書き込みをみて応募。秘匿性の高いアプリを通じて、ベトナム本国に拠点があるとみられるトクリュウのグループから指示を受けていた。 アパートで生活して「出し子」をするよう指示され、家賃はトクリュウのグループが支払っていた。1人は来日時に約70万円の借金があったが、闇バイトで完済したと話し、もう1人は借金約110万円のうち半分程度を返済したと話しているという。 県警は、ベトナムのトクリュウグループが、借金を負って日本にいる技能実習生を狙い、SNSで勧誘している可能性もあるとみて、資金の流れや背後関係を調べる。(小林日和、加藤美帆)

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