長野県中野市で2025年5月、住民の女性2人と警察官2人の合わせて4人を殺害した罪に問われた青木政憲被告(34)は、初公判の罪状認否で「黙秘します」と述べ、弁護側は、起訴内容と刑事責任能力を争うとしました。 検察と弁護側の冒頭陳述から、青木被告は事件の前年から女性2人から「ぼっち、きもい」と言われていると妄想を抱き、殺人事件に至った経緯などが明かされました。 ■「ぼっち、きもい」検察の主張 検察側は冒頭陳述で、被告は大学に入学した2013年に周囲の学生から「ぼっち」「きもい」と言われると妄想を抱く症状が出始めたとしました。 事件前年の2022年には、毎日夕方、青木被告の家の前を散歩していた女性2人が「ぼっち、きもい」などと話しているという妄想を抱き、その後、2人を殺害しようと考えたが、果樹園の経営ができなくなると躊躇(ちゅうちょ)していたとしました。 2023年4月には、インターネットサイトからボウイナイフを購入し、刃を研いでさらに鋭利に加工するなどしていたと指摘しました。 ■事件当日の状況は? 2023年5月25日 自宅の庭で除草剤をまいていると、散歩をしてきた女性2人を目撃して激高し、殺害を実行に移すことになったといいます。物入からボウイナイフを取り出し、2人を殺害したと主張しました。その後、自宅敷地内に遺体を移動させて隠したということです。 25日午後4時36分ごろ パトカーが来たのに気が付き、ハーフライフル銃で車内に向けて発砲するなどして警察官2人を殺害したとされます。 25日午後5時31分ごろ 母親が自宅に戻り、自首を促されるも拒否し、母親は猟銃を持って自宅から逃走したとしました。 翌日26日午前4時台 被告は父親に電話をして、警察に投降することを伝え、その後、身柄を確保されたということです。 ■検察側「完全な責任能力があった」 検察は、逮捕後に行った医師の精神鑑定により、被告には「妄想症」という精神障害があり、動機には「妄想」が関係しているものの、事件前に購入したナイフの刃を研いだことや、犯行後に女性の遺体を隠した行動などから、犯行への直接的な影響はないと主張しています。