TBSの10月期番組改編説明会が9月4日に同局で行われた。 説明会には、コンテンツ戦略局コンテンツ戦略部長の三島圭太、コンテンツ戦略局コンテンツ戦略部企画プロデュース室長の寺田淳史、『東京2025世界陸上』プロデューサーの七澤徹、TBS火曜ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』プロデューサーの杉田彩佳、TBS金曜ドラマ『フェイクマミー』プロデューサーの韓哲、TBS日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』プロデューサーの加藤章一、大河原美奈、TVアニメ『太陽よりも眩しい星』プロデューサーの白石容子が出席し、司会進行をTBSアナウンサーの上村彩子が務めた。 説明会の冒頭では、三島が“積極的無改編”という方針を示したうえで、10月期では、改編をしない旨に関する説明がなされた。あわせて三島はTBSが2024年10月より導入した「LTV4-59」という指標についても言及し、TBS視聴者の年齢層が高齢者層に偏っていた時期があったがゆえに、幅広い年齢層の視聴者の獲得のために59歳以下の個人視聴率を示した「LTV4-59」を最重要指標として導入したとのこと。三島は、「方針を切り替えた去年の10月から徐々にうまくいっているので、今回は改編をしないという決断をした」と明かした。 寺田は「LTV4-59」に基づいたうえで他局との比較を行い、1位の日本テレビとの差を縮めることに成功したとアピール。報道番組の『THE TIME,』(TBS系)や『Nスタ』(TBS系)の好調や、ドラマでは『キャスター』(TBS系)や『19番目のカルテ』(TBS系)といった日曜劇場の作品が視聴率を牽引する結果となった。 ここで10月期に放送される新ドラマのプロデューサーが登壇し、各ドラマの見どころや撮影中の裏話を披露した。『じゃあ、あんたが作ってみろよ』のプロデューサーを務める杉田は、「本作のテーマは、小さな世界で起こる男女2人の大きな揺らぎです」と語った。そして「ここで1つネタバレをさせてください」と前置きしたうえで、「夏帆さん演じる鮎美が、2話で(ラランドの)サーヤさん演じる渚に、あるところに連れていかれ、そしてあることに挑戦します。その夏帆さんの表情や仕草は必見です。楽しいシーンである一方で、少しほろっとするような要素もあるのですが、これは1話を観ないと繋がりません。二面性を持つシェアードユニバースな回になっておりますので、1話と2話を両方観ていただき、夏帆さんの変化に注目してみてください」と明かした。 そして、W主演を務める竹内涼真に関しては、「TBSの火曜22時ドラマというと、キラキラした優しくて朗らかな青年だったり、王子様のような男性が出てきたり、ドSの社長が出てきたり……といったイメージがあるかもしれませんが、今回の主役は全く違います。とにかく男臭い。1歩進んでは2歩下がる。自分のしてしまったことを反省して、彼女を取り戻していく。そんな竹内さんの姿は、本作のコメディ要素でもあり、この枠の新しい男性像になると思います。そして、竹内さんのアイデアで生まれたあるシーンや衣装にも注目してみてください。竹内さんのアイデアは毎話登場するので、観ていくともしかしたらこれかな、と気づくかもしれません。そこもお楽しみいただければ幸いです」とにこやかに語った。 続いて登壇した『フェイクマミー』プロデューサーの韓は、作品のテーマを「母親業のアウトソーシング」と述べた。 脚本を担当する園村三は本作がデビュー作であり、次世代を担う脚本家の発掘・育成を目的としたプロジェクト「TBS NEXT WRITERS CHALLENGE」の第1回において、同作で大賞を受賞。以前園村は別名義でバラエティの構成作家を務めており、TBSでも多くの人気番組を担当していたという。しかし、妻の出産を機に全てのバラエティ番組から降板し、構成作家の仕事の傍らプロジェクトに応募したという。ライフステージの変化のなか、「母親じゃない人が母親として、あるいは母親のふりをして行事などに参加していることが、お母さんのSNS上で話題になっている」という妻の話を聞いたことで、本作を思いついたそうだ。 こういった経緯を踏まえて韓は、「子育てにおける負荷の多くはお母さんの方にかかっているのが現実だと思います。多忙なお母さんに代わって家族以外の人が母親として学校の行事に参加することがもし世の中であったらどんなことが起こるのだろうか。あるいは、母親業をアウトソーシングしたら世の中ではどんな変化が起きるか、ということを考えながら園村さんと脚本作りをしました」と本作の意義を語った。 また、韓は川栄李奈演じる茉海恵の娘・いろは役を務める池村碧彩の裏話を明かした。「本当に天真爛漫でかわいくて、ずっと笑顔なんです。13種類ものパターンがあるというオリジナルのダンスを披露して、この猛暑の撮影中でも、多くのキャストやスタッフを笑わせてくれます。でも、ひとたび芝居に入るともう大人顔負けと言っていいほどのレベルで、おそらく一番NGがないのでは、というくらい素晴らしい演技をしてくれています」と池村の演技力を絶賛した。 日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』からはプロデューサーの大河原が登壇。同じくプロデューサーの加藤はロケ地である競馬場からリモートでの参加となった。加藤は「今回はキャスティングがとてもうまくいきました」と述べたうえで、「メインの出演者の皆さんに関しては、ほとんどが第1希望のキャスティング通りとなり、ほぼ全ての方に1発で出演OKしていただきました」と明かした。「僕もプロデューサーを20年ぐらいやっていますけど、これは初めてのことで、すごい奇跡が起きたなと思っております」と喜びを滲ませながら語った。さらに加藤は、「内容的に男性キャストの方が非常に多いのですが、“イケメン”や“イケおじ”の方ばかりなので、女性の方にも非常に楽しんで観ていただけると思います。妻夫木聡さん、目黒蓮さん、佐藤浩市さんというスリーショットはなかなか観られないと思いますので、そこにご期待していただければ」と見どころをアピール。 役名や役柄が明かされていない目黒に関して、「説明してしまうと、先々のストーリーが見えてしまうのでシークレットにしていますが、ぜひドラマで観ていただいて、視聴者の皆さんに楽しんでいただけたらなと思っております」と語った。 また、JRAの全面協力となる『ザ・ロイヤルファミリー』では、実際の競馬場やトレーニングセンター、競馬学校で撮影を行っており、作中には有名ジョッキーも登場するそうだ。そして馬を使った撮影ということで、「なかなか言うことを聞いてくれなくて苦労が多い」と加藤が明かした。その一方で、「なぜか佐藤浩市さんだけ馬に好かれていて、難しい設定のお芝居も、佐藤さんが言うと馬がやってくれるという奇跡も起きております」と佐藤を称賛。 そして、『東京2025世界陸上』プロデューサーの七澤が登壇し、今大会への意義込みを語ると、大会アンバサダーを務める織田裕二と今田美桜からのメッセージ動画が上映された。今大会で初のスポーツ大会のアンバサダーを務める今田は、注目選手を尋ねられると久保凛選手を挙げた。一方の織田はシドニー・マクラフリン選手を挙げ、「とてつもないポテンシャルを秘めた選手だからこそ、この大会に限らずずっと追いかけていきたい」と熱弁した。 最後に、10月2日より放送されるTVアニメ『太陽よりも眩しい星』プロデューサーの白石が登壇。「本来アニメーションでは、ものや人物を動かすにあたって、原作で描かれている線を減らすのですが、今回は全く逆の作りにしました。どこまで原作の線をアニメで表現できるかという点で、他のアニメーションでは見られない新しい作りの作品になりました」と本作のこだわりを明かした。 また、秦基博による主題歌「Stellar Days」にも言及。「非常に作品に沿う内容となっています。最終話まで観ていただくと、この曲がいかに作品とリンクしていたか、というのが分かる作りになっていますので、最後までお付き合いいただけたら」とコメントした。 質疑応答では、放送中のドラマ『19番目のカルテ』に出演しており、大麻所持が発覚したことで7月に逮捕された清水尋也容疑者に関する質問も。三島は「10月以降の番組に対しての影響はなく、出演予定やキャスティングの予定は現時点ではありません」と返答した。