愛知県を拠点とする匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)「ブラックアウト」。そのリーダーら10人以上が、大阪府内のマンションに凶器を持って侵入したとする事件で大阪府警に逮捕された。なぜ愛知県のトクリュウのメンバーが、大阪に集結したのか。捜査の末に浮かんできたのは、和歌山県内で発生した高額窃盗事件。「ブラザー」と呼び合った関係性が、事件の報酬を巡って決裂していた。 4月20日早朝、大阪府東大阪市のマンションで、バンダナやマスクで顔を隠し、特殊警棒やナイフのようなものを持った男十数人が3台の車に分かれて乗り付け、敷地内に入っていった。 大阪府警は凶器準備集合や邸宅侵入容疑で、ブラックアウトのリーダー、タキワキ・マサキ・ラサイ容疑者(21)=フィリピン国籍=ら15人を逮捕した。 このマンション一室は大阪を拠点とする「半グレ」の関係先とみられ、大阪と愛知のグループによる抗争の可能性が浮上。府警が捜査を進めた結果、トラブルの原因として浮上したのは和歌山県の民家から金庫が盗まれた事件だった。 府警は9月27日、住居侵入と窃盗容疑でタキワキ容疑者ら男7人を逮捕したと発表した。 逮捕容疑は4月上旬、共謀し、和歌山県有田川町の民家に窓ガラスを割って侵入し、現金約280万円が入った金庫などを盗んだとしている。 府警は認否を明らかにしていないが、捜査関係者によると、逮捕されたうちの一人、大学生の宮田晃希容疑者(22)=東大阪市=は、大阪を拠点とする半グレと関わりがあり、ブラックアウトのメンバーが集結した東大阪市のマンション一室に当時居住していた。 ■支払われなかった報酬 関係者の府警に対する説明では、宮田容疑者はタキワキ容疑者らに「金庫を盗む。成功すれば一人あたり200万円の報酬が支払われる」ともちかけた。ブラックアウトのメンバーらが実行役となり、盗んだ金庫を奈良県内の山中に運び、別の男に引き渡した。ところが、宮田容疑者は事前の約束に反し、「金庫の中身は上の人が全部持って行った」とブラックアウト側に報酬を支払わなかった。 宮田容疑者と連絡が取りにくい状態となり、ブラックアウトのメンバーが宮田容疑者のSNSを確認したところ、クラブで豪遊していたことが判明。実行役の一人をブラックアウトから引き抜こうとした疑いも持ち上がり、「けじめ」として東大阪市での凶器準備集合事件に発展したという。