信じることが先か、疑うことが先かーー。9月20日に公開された映画『揺さぶられる正義』が、日本の刑事司法とメディア報道のあり方に一石を投じる衝撃作として大きな話題を呼んでいる。本作は、多くの冤罪事件を引き起こしてきた「揺さぶられっ子症候群」、通称「SBS(Shaken Baby Syndrome)」を追い続けた報道記者が自らメガホンを取ったドキュメンタリー作品。「虐待をなくす正義と冤罪をなくす正義」がぶつかる狭間で浮かび上がる、当事者たちの声を記録している。 2010年代、赤ちゃんを激しく揺さぶって虐待したとして、親や近親者、保育士などが逮捕・起訴される事件が相次ぎ、メディアはこぞって「犯人」とされる人を実名でセンセーショナルに報じた。しかし裁判の最中に医学的根拠への疑いが生じ、結果として、異例の数の無罪判決が出た。