“伝説のボクサー”渡辺二郎とは何者だったのか? 現役引退後5度の逮捕、そして“永久追放”……。一方で、日本人として初めて海外で防衛するなど、通算10度の世界王座防衛を遂げた。天才ボクサー、波乱の人生とは。【NumberWebノンフィクション全3回の後編/前編、中編も公開中】 ◆◆◆ 筆者は、渡辺二郎の往年の世界防衛戦におけるファイトマネーの一覧を入手した(カッコ内は対戦相手)。1200万円(バリャス)、2300万円(大熊)、2500万円(イバネス)、2750万円(ラミレス)、3250万円(権)と防衛を重ねるごとに上がり、パヤオ・プーンタラットとの“王座統一戦”で5400万円と大台に乗せている。 しかし、本人は至ってドライである。 「ぼくはずっと年三回、試合をやるというパターンでやってきてますから、累進課税がすごいですよ。だから年に三回やったら、一回は税金のためにやってるようなもんですわ」(渡辺二郎のコメント/『週刊文春』1985年11月21日号)