容疑者、20年ぶり再会の被害者夫に「嫌悪感」 名古屋主婦殺害

1999年、名古屋市西区の自宅アパートで高羽奈美子さん(当時32歳)が殺害された事件で、殺人容疑で逮捕された同市港区のアルバイト、安福久美子容疑者(69)が事件5カ月前に高羽さんの夫、悟さん(69)と約20年ぶりに再会した際、「嫌悪感を抱いた」との趣旨の供述をしていたことが捜査関係者への取材で判明した。愛知県警は再会が事件の引き金になったとみて、詳しい経緯を調べている。 ◇容疑者を鑑定留置 また、名古屋地検は14日から、安福容疑者の事件当時の精神状況や刑事責任能力の有無を調べるため、鑑定留置を始めたことを明らかにした。 安福容疑者と悟さんは同じ高校のソフトテニス部に所属していた。悟さんによると、卒業後に連絡を取ることはなかったが、99年6月、20人ほどが参加した部のOB・OG会で再会。この場で、悟さんは離婚後に奈美子さんと再婚し、子どもができたことなどを報告。安福容疑者は「仕事をしながら主婦業もして大変」などと話した。その後、2人のやり取りはなかったという。奈美子さんは同11月13日、アパートで首を刺されて死亡した。 捜査関係者によると、安福容疑者は容疑を認めたうえで、悟さんについて「学生時代に好意があった」との趣旨の供述もしていた。20年ぶりに再会した際、「悟さんの近況を知って嫌悪感を抱いた」との趣旨の説明をしていたが、黙秘に転じたという。県警は、面識のなかった奈美子さんに矛先が向いた経緯がはっきりしないため、再会の場に同席した知人らにも事情を聴くなどしている。 関係者によると、安福容疑者は事件の10年ほど前、幼い長女を病気で亡くしていた。事件当時は市内の生活関連商品を製造・販売する会社で事務の仕事をしながら、男児を育てていたという。 悟さんは毎日新聞の取材に対し「OB・OG会で深い話はしていない。私が恨まれることも、妻が襲われる理由も分からない。容疑者は何かの妄想にとらわれているのではないか」などと話している。【丘絢太、塚本紘平】

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