法人から借り受けるなどした口座を詐欺グループに提供したなどとして、警視庁犯罪収益対策課は組織犯罪処罰法違反(犯罪収益隠匿)の疑いで、決済代行会社「SmartPayment(スマートペイメント)」(横浜市神奈川区)の実質的経営者、尾崎裕一郎容疑者(47)=横浜市西区=と、同社役員の林孝尚容疑者(40)=横浜市神奈川区=を逮捕し、法人としての同社を書類送検した。犯収課は2人の認否を明らかにしていない。 犯収課によると、2人は仲介者を通じ、資金繰りに窮するなどしていた複数の法人から銀行口座を借り受け、詐欺グループに提供。振り込まれた詐取金をグループに渡したほか、一部を手数料として受け取っていた疑いがもたれている。 出会い系サイトなどを悪用した詐欺事件の捜査の過程で浮上。同社が管理する口座に振り込まれた詐欺の被害金は、令和5年8月~6年6月までで約3億1300万円に上るとみられる。警視庁は、同社が匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)を含む複数の詐欺グループに口座を提供していた疑いもあるとみて、全容解明を進める。 逮捕容疑は、何者かと共謀し、6年5~6月、詐欺の被害金が振り込まれると知りながら、法人から借り受けた2口座を提供したほか、手数料を得て現金の引き出しや運搬を行うなどして、被害者から約140回にわたり振り込まれた現金計約2500万円を隠匿したとしている。 スマート社は、風俗店などを顧客とする決済代行会社。詐欺の被害者から返金を求められた際には、「代金回収のみを担う業者。詐欺については知らない」などとして一部を返金するなどしていたといい、口座の凍結を免れようとしたとみられる。