小学館、別マンガでも原作者の別名義起用が判明 「二次加害を懸念」

小学館は2日、同社のマンガ配信アプリ「マンガワン」で連載している「星霜の心理士」の原作者について、過去に性加害事件に関わった人物を別の名義で起用していたと発表した。同アプリでは「常人仮面」の原作者についても、過去に性加害事件に関わったマンガ家を別の名義で起用していたことが明らかになっていて、同社は顧問弁護士と社員による調査委員会が経緯を調べていた。新たに立ち上げる第三者委員会へと調査を移行し、編集部の作家起用のプロセスや人権意識などについて検証する方針という。 小学館によると、新たに起用の経緯を検証することになった原作者は「星霜の心理士」を手がけている八ツ波樹氏。「マツキタツヤ」名義で、「週刊少年ジャンプ」(集英社)上に「アクタージュ act-age」を連載していたが、2020年8月に強制わいせつの疑いで逮捕され、連載を打ち切られた。その後、執行猶予付きの有罪判決を受けた。 マンガワン編集部は、判決の確定や執行猶予期間の満了、事件に対する反省の姿勢や再発防止への取り組みなどを確認した上で、起用を決めた。起用の経緯は編集部の一部が把握していたが、「常人仮面」の原作者起用をめぐる社内調査の中で判明し、八ツ波氏の同意を得て公表したという。 発表によると、24年9月に編集者が八ツ波氏と面会。「(被害者への)強い贖罪の感情と、事件に対する後悔と反省、事件から判決を経て執行猶予期間が満了するまでの生活や内面の変化」などについて聞き取った。面会は当時の編集長が了承していた。 編集部は、八ツ波氏の担当心理士が「心的療養、更生が十分になされている」と判断していることを踏まえ、「社会復帰を目指すことは否定すべきでない」と判断。八ツ波氏は、以前の名義で活動することで、被害者への二次加害を懸念していたため、編集部と八ツ波氏の判断でペンネームの変更も認めた。作画の担当者にも、経緯を説明した上で依頼したという。 編集部は、被害者配慮として適切だったかについて「熟慮すべきであった」とし、「あらためて、被害に遭われた方々に深くお詫び申し上げます。そして不安を抱かれているすべての皆様にも深くお詫び申し上げます」とコメントしている。 「星霜の心理士」については、2日から連載の更新を一時停止する。 ◇ 小学館は、3日に開催予定だった第71回(2025年度)小学館漫画賞の贈呈式の延期を決めた。 小学館漫画賞は1955年に創設された。今回の受賞者は1月14日の最終審査を経て決まり、同日にすでに公表されている。例年、東京都内で贈呈式があり、関係者や報道陣を前に、受賞者が喜びの声を語っていた。(照井琢見)

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