「幽霊」レーシングカーの運転手を逮捕、6年にわたり幹線道路で目撃 チェコ

(CNN) 東欧チェコの警察は、6年にわたり幹線道路で目撃されていた「幽霊」レーシングカーの運転手を逮捕した。 赤いF1型のレーシングカーが公道を違法に走行しているとの通報が最初にあったのは6年前。当局は身元不明の運転手を逮捕しようとしたものの、あらゆる努力は無駄に終わっていた。 しかし、7日午前8時15分ごろ、首都プラハの南西約40キロに位置するドブジーシュ近郊のガソリンスタンドで問題のレーシングカーが確認された。 中央ボヘミア州の警察の報道官によれば、最初の通報から2分後、別の通報者から、レーシングカーがD4幹線道路をプリブラム方面に向かって猛スピードで走っているとの情報が寄せられた。 警察は複数のパトカーとヘリを出動させ、15分以内に最初の目撃地点から約18キロ離れたブク市で運転手を拘束した。 運転していたのは51歳の男で、飲酒と薬物の検査は陰性だった。身元は明らかにされていない。警察によれば、男は連行され事情聴取を受けたが、発言を拒否した。 これまでも運転手を逮捕しようしてきたが成功していなかった。このレーシングカーは2019年、プラハと南ボヘミア州を結ぶ幹線道路で走行する映像が出回ったのをきっかけに警察の注意を引いた。3年後には中部ボヘミア州の別の幹線道路でも走行しているのが確認された。スピードカメラの映像には、運転手がヘルメットを着用している様子が捉えられており、身元の特定にはつながらなかった。 チェコでは、こうした車両を公道で運転することは違法だ。警察は声明で、「この種のレーシングカーは、法的に定められた技術要件を満たしていないため、公道での運転は法的に認められていない。フォーミュラカーには鋭利なエッジがあるほか、ライトや方向指示器、ナンバープレート、そのほかの重要な安全装置が搭載されていない。フォーミュラカーなどレーシングカーの運転は運転手自身だけでなく、他の道路利用者にとっても危険だ」と説明している。 逮捕の瞬間を映した映像がユーチューブやインスタグラムに投稿され、現地メディアによれば運転手とその息子が運営していたアカウントに関連するとされる。動画では、車両が家の庭に牽引(けんいん)され、チェコ語で「警察だらけだ!」と叫ぶ声が聞こえる。 運転手は車両から降りることを拒否し、警察が私有地に侵入していると主張している。警官は、運転手に法律違反の疑いがあるため来たと話している。その後、運転手は現場の警官と口論しながら警察に電話をかけた。電話の警官は運転手に対し、現場の警官の指示に従うよう伝えたが、運転手は抵抗を続けた。このにらみ合いは10分近く続き、その後、運転手が車から降り、連行された。 警察は今後、行政機関に事件を移管し、処分を決定する。違反行為には、5000~1万チェココルナ(約3万5000~7万円)の罰金と、6カ月から1年の免許停止処分が科される可能性がある。

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