来場者限定のパスコードがネット上に流出!「大阪・関西万博」は″高額転売ヤー″たちの天国だった

大阪・関西万博公式キャラクターのミャクミャクをあしらった定価9900円のニットが、倍以上の2万2000円で転売されている。フリマアプリで「万博 グッズ」などと検索すれば、定価以上の値段を付けられた商品がズラリと画面に表示されるのだ――。 大阪・関西万博のグッズ転売が相次いでいる。万博を巡っては、4月の開幕当初から入場チケットや記念500円硬貨の転売が問題視されてきた経緯があるが、都内を拠点に転売ビジネスで稼いでいたA氏は「実際、万博は転売天国ですよ」と言い放った。A氏は万博開幕後の5月からは大阪府内にある実家に身を寄せ、週に2~3日の割合で買い付けのため万博会場を訪れているという。 「万博には、来場しなければ買えない会場限定商品が200種類近くあり、そのほとんどが定価以上の値段で転売できる。特にサンリオなど人気キャラとのコラボ商品は、倍以上の値が付きます。品薄になりがちなので、見つけたら即買いです」 総じて、コラボ商品は転売ヤーにとっての利幅を生みやすい。例えばディズニーの場合、限定商品を手に入れたいファンはディズニーランドやシーにも行きたいはずである。しかし、サンリオのキャラクター・クロミと万博のコラボグッズが欲しいファンは、必ずしも万博自体に興味があるわけではない。となれば、コストと時間をかけて万博に行くのではなく、定価以上の価格を支払ってでも転売市場で買おうという需要が生まれる。万博側とライセンス契約を結んだ約370社が公式グッズを販売している万博会場は、転売ヤーにとって宝の山なのだ。 A氏は過去にディズニーグッズの転売をしていたというが、万博は「(ディズニーより)仕事がしやすい」とも話す。 「ディズニーではコロナ禍以降に年間パスが廃止されましたが、万博の場合、3万円の通期パス(現在販売終了)さえ購入すれば、何度でも買い付けに行ける。また、購入の個数制限があるグッズも、ディズニーのように公式のアプリで購入個数が管理されるわけではないので、レジに並び直せば制限以上の個数を買えます。これまで、約4ヵ月で40回ほど万博に入場。約1400点のグッズを買い付けて転売し、300万円くらい儲けました」 一方、中国人転売ヤーのX氏は、一度も現地を訪問することなく、万博の来場者限定商品の転売を行っているという。 「1万5000セットが即完売し、再販が決まった万博記念ICOCAとその関連グッズなど、会場限定グッズの一部は来場者限定のオンラインストアでも購入できます。オンラインストアは、会場内で公開されている日替わりのパスコードを入力することで、来場日の翌朝までサイトにアクセスできるという仕組み。 ところが、このパスコードが中国のSNS上の転売コミュニティで毎日共有されていて、来場しなくても一部の商品は買い付けできてしまうのです。運営側にとってはグッズ販売も大切な収入源でしょうから、見せかけだけの転売対策をしているんでしょうね」 ちなみにディズニーランドやシーにも同様のオンラインストアがあり、来場者は入園日の深夜までに限って利用可能だ。ただ、こちらはパスコード制ではなく、アプリを通して入園記録をチェックするシステムになっているため、基本的に来場者以外が商品を購入することはできない。ところが大阪・関西万博では予想外の物販の好調を受け、転売が横行するなか、コラボグッズの販売期間の延長に向けた協議が進んでいるという。 相次ぐ公式グッズの転売について、運営側は対策を講じているのか。大阪・関西万博を主催する『2025年日本国際博覧会協会』に質問状を送付したところ、「転売目的での購入はお控えいただくようお願いしています。安心してお買い求めいただける万博会場内や街中のオフィシャルストアなど、公式ライセンス商品を扱っているお店でご購入いただくことをお願いしています」と回答があった。 8月には転売目的の万引きによる逮捕者も出ている。万博の運営はこのまま本気で転売ヤーと向き合うことなく、1ヵ月後の閉幕を迎えるつもりなのか。 『FRIDAY』2025年9月26日号より 取材・文:奥窪優木(フリーライター)

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