「まさか柔道塾の塾長という立場の人間から、まだ小学生の娘が性被害を受けるとは、まったく考えられないことでした。 しかもその性被害が一度にとどまるものではなく、何度も被害に遭っていたことや、被告人がそのたびに撮影していたこと、他に何人もが被害に遭っていたことを知り、親として本当に許せません」 柔道塾の元塾長が、塾生である男児に暴行を加え、さらに複数の女児に性的暴行を加えるなどした事件。9月10日に開かれた第3回公判では、衝立で傍聴席から姿は見えないものの、被害者の母親が意見陳述を行い嗚咽しながら被告人への怒りを訴えたのだった。 「’24年11月7日、千葉県警市原署は、’23年5月の合宿中に男子児童A君(当時10)の口に無理やりしょうゆを流し込んだとして、暴行の疑いで柔道塾の塾長だった石野勇太被告(33)を逮捕しました。石野被告は12月26日にもA君への別の暴行の疑いで再逮捕されています。 その捜査の過程で、石野被告が撮影したとみられる大量の児童ポルノが、本人が所有するスマホから見つかりました。その画像や動画を解析した結果、市原署は’25年1月7日に、(事件当時13歳未満だった)Bさんに性的暴行を加えたとして、石野被告を不同意性交等の疑いで再逮捕したのです。 さらに捜査を進めていく過程で逮捕を繰り返し、6月10日に(事件当時18歳未満だった)Iさんへの児童福祉法違反の疑いで再逮捕したことで、7回目の逮捕になりました。 全日本柔道連盟は3月27日、石野被告を最も重い処分である除名処分に決めています」(全国紙社会部記者) 石野被告は、A君への暴行、(起訴された順に)B~Fさんに性的暴行を加えたとして起訴されていたが、さらに(事件当時13歳未満だった)GさんとHさん2人の女児に対しても、やはり被害児童が睡眠中に体を触ったり、自己の陰茎を押し付けるなどの犯行に及び、さらにその行為をスマホで撮影したとして起訴された。その後、Iさんへの犯行が児童福祉法違反で起訴されて、被害者は9人となり、石野被告は合計10もの罪に問われることとなったのだ。 ◆「知っている女の子の性的な部分が見たい」 8月14日の第2回公判で、起訴状や冒頭陳述などから明らかになったIさんへの犯行は、指導者という立場を利用した卑劣な犯行だった。 「被告人は、被告人から柔道の指導を受けていたIさんが18歳に満たない児童であることを知りながら、柔道の指導をしていた立場を利用して’19年に8回にわたり、Iさんに対して口腔性交や性交に及びました」 Iさんは検察官が読み上げた供述調書の中で、石野被告への怒りを次のように述べていた。 「(石野被告に)体を弄ばれていると感じてはいましたが、(性行為を)断ると不機嫌になり、無視してきたり、わざと厳しい練習をしてくるので、嫌だと言えませんでした。 警察に被害届を出すかどうか悩んだものの、多くの被害者がいると聞いて、本当に許せないと思いました。被告人には、自分の行為が社会的に許されない行為だと理解してほしいので、厳しい処罰を望みます」 元塾生のB~Hさん、7人の女児への犯行のほとんどが’19~’24年の柔道の合宿中に行われ、すべて被害児童が睡眠中に性的暴行を加えているため、被害に遭ったことすら気づいてなかったという。 また石野被告は、睡眠中の女児に性的暴行を加えるため、睡眠導入剤を被害児童の飲み物に混ぜたこともあり、「眠剤合宿 寝るときに睡眠薬を飲ませる」というメモが石野被告のスマホから発見されている。 警察での取り調べで、これら睡眠中の女児への犯行の動機を、石野被告は次のように述べたという。 「知っている女の子の性的な部分が見たい、触れたいという欲求を我慢することができませんでした。ばれないように性行為に及ぶこと、性的な部分を見ること、盗撮をすることに興奮を覚えるという性癖を持っていたために、犯行に及びました」 ◆歪んだ欲望を満たすために厳しい稽古を… さらに、合宿中に女児に性的暴行を加えるためか、保護者の送り迎えについても時間を指定していたのだと、第3回公判の意見陳述で被害女児の母親は明かしていた。 「保護者の顔を見たら緊張が解けて、甘えから泣いてしまう子が多いからなどと言われ、保護者は、子供を送ったらすぐ帰るよう、迎えも指定された時間までは来ないように注意を受けていました」 さらに、この日の意見陳述で被害者の母親は、冒頭のように被告に対する怒りを述べた後、さらにこう続けていた。 「被告人は、自分の歪んだ欲望を満たすために、合宿で保護者の目が届かないようにして、早朝から夜まで、厳しい稽古をさせていたのだとわかりました。合宿は、被告人の性欲を満たすための装置として用意されたものとしか思えませんし、娘を被告人の指示のとおりに、この装置に送り込んでしまったことは悔やんでも悔やみきれません」 そして娘が性被害を受けたことだけでなく、公判での石野被告の言動が、さらに怒りをかき立てたのだと述べたのだった。 【後編】では、被害者家族を激怒させた石野被告の言動について詳しく紹介している。 ※「FRIDAYデジタル」では、皆様からの情報提供・タレコミをお待ちしています。下記の情報提供フォームまたは公式Xまで情報をお寄せ下さい。 情報提供フォーム:https://friday.kodansha.co.jp/tips 公式X:https://x.com/FRIDAY_twit 取材・文・写真:中平良