コメ45トンを緑豆と偽ってベトナムから密輸入しようとしたとして、大阪府警は6日、ベトナム国籍の会社経営、チャン・ティ・トゥ・フェン容疑者(36)と、夫で自営業の武重智之容疑者(47)=いずれも大阪府東大阪市=を関税法違反と植物防疫法違反の疑いで逮捕し、発表した。 府警は、昨今の日本でのコメ価格の高騰に乗じ、安価な外国産米を日本産と偽って売ろうとしていた疑いがあるとみて調べている。 生活環境課によると、フェン容疑者はベトナムから果物や野菜を輸入・販売する会社を経営。武重容疑者はベトナム食品などの販売業を営んでいるという。 逮捕容疑は、ベトナムにいる他の人物と共謀して6月中旬~下旬、ベトナムからコンテナ2台に分けて船に積んだコメ約45トンを、農林水産省の植物防疫所や税関に「緑豆」と偽って申告し、大阪市内の港で不正に輸入しようとしたというもの。 6月25日に大阪税関の職員がコンテナ内を調べた際、手前に積まれた緑豆の奥に、未申告のコメが段ボール箱2272個に分けて積まれているのを見つけたという。 農水省によると、全国のスーパー(約1千店舗)のコメの平均価格は、昨年初頭は5キロ2千円ほどで推移していたが、同9月に3千円を超え、今年3~6月ごろには4千円台まで上昇。その後3千円台に下がったが、9月に4千円台に戻った。 この間の一時期は店頭からコメがなくなり、「令和の米騒動」と呼ばれる社会現象になった。 税関によると、ベトナムからコメを輸入する際は1キロあたり341円の関税などがかかるが、緑豆には関税がかからない。府警は、両容疑者がコメを低コストで日本に持ち込み、産地を偽って売ろうとしたとみている。(小島弘之、黒田陸離)