10日、大分県佐伯市で道路を横断中の高齢者が車にはねられて亡くなる事故があり、県内の交通事故死者は今年29人となって昨年1年間の28人を超えた。夕暮れ時が早まり大きな事故が起きやすくなる時季を迎え、県警は「何とか死亡事故に歯止めをかけたい」と強調。事故防止の啓発活動に力を入れるとともに、朝夕の薄暗い時間帯の取り締まりを強化する。 佐伯署によると10日午前6時40分ごろ、佐伯市池船町の市道交差点で、左折中の乗用車が横断歩道を渡っていた市内の無職男性(80)をはねた。男性は頭などを強く打ち、約1時間20分後に死亡。乗用車は左折後、対向車線に停止中の乗用車にも衝突した。 現場は片側1車線の信号交差点。同署は自動車運転処罰法違反(過失致傷)の疑いで、乗用車を運転していた市内の無職の男(72)を現行犯逮捕した。容疑を過失致死に切り替えて調べる方針。男と、衝突された乗用車の40代男性にけがはなかった。 県警によると、今年の事故死者のうち10人は歩行者で、昨年同期の5人から倍増。このうち8人は65歳以上の高齢者で、横断歩道を渡っていて右左折する車に衝突されたり、幹線道路を横断中に直進車にはねられたりした。 県警は「ドライバーは横断歩道付近で必ず減速してほしい。歩行者は信号が青でも左右を確認して渡ることを忘れないでもらいたい」と呼びかける。 時間帯別では、交通量の増える朝方の事故が多く、午前4~10時が14件で全体のほぼ半分を占める。 県警交通企画課の佐藤智宏課長補佐は「日没が早まるこれからの時季は早めのライト点灯を心がけ、歩行者は反射材を着けるなどして自分の身の安全を守ってほしい。家庭、地域、職場など、たくさんの場所で交通安全を呼びかけ、悲惨な事故を一件でも減らそう」と話した。